数々の栄誉ある賞を獲得してきたロンジン
ロンジンの歴史は、スイス、ジュラ山脈の谷間に開けた小さな町サンティミエで1832年に遡る。オーギュスト・アガシが同地の時計製造販売会社の共同経営者に就任したのが始まりである。彼の事業を引き継いだ甥のアーネスト・フランシロンは、従来の各地に分散した時計職人や部品業者に頼る昔ながらの非効率的な方式を改めるために、1867年に「レ・ロンジン」と呼ばれる場所に工場を建設した。それは、近代的な生産方式を取り入れ、製造工程を一箇所に統合したスイス初の時計工場だった。1889年にスイス連邦知的所有権局に登録された、有名なロゴマーク「翼の砂時計」
その成果は早くも現れ、新工場で作られたばかりの懐中時計が、同年のパリ万国博覧会で銅メダル受賞の栄誉に輝いた。1873年のウィーン万国博覧会では優秀賞、1885年のアントワープ万国博覧会では初のグランプリを受賞したロンジンは、その後も、1889年のパリで2回目のグランプリ、1900年のパリで4回目のグランプリを授与され、1929年のバルセロナでは通算10回目のグランプリ受賞という未曾有の記録を樹立した。
ロンジンはまた、時計にメーカー名やロゴマークを記して高品質を謳うことを始めた先駆者だった。「ロンジン」の名称や「翼の砂時計」のロゴマークは、工場設立の1867年から使われているが、1880年代にはそれらをスイス連邦知的所有権局に登録して、いわゆる「ブランド」の確立と保護にいち早く取り組んだことでも知られる。
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