上昇する機械式時計の価格

スイスで機械式時計が本格的に復活したのは1990年代だが、ブームが始まった1990年前半から中頃を振り返ると、平均的な価格は今よりずいぶん「安かった!」という感がする。

自動巻き、ステンレススティール・ケースという条件で調べてみると、時刻表示に日付表示を加えたシンプルなモデルで、下は3万円あたりから10万円程度。ダイバーズ・ウォッチ、クロノグラフ(ストップウォッチ機能付き)など、ワンランク上の機能を備えたものでも10万円台で手に入り、上限が20万円前後。タグ・ホイヤーの代表的なスポーツ・ウォッチやオメガの有名な「スピードマスター」や「シーマスター」などもだいたいこの価格帯だった。さらに20万円ほど高額帯にロレックスが位置していた。実際、雑誌で一般読者向けに企画を立てる際も、入門や日常使いのベーシックな時計として提案するなら10万円台、機能などが凝った時計でも30万円くらいまでというのが、一つ目安とされたのである。

オリス ビッグクラウン ポインターデイト
「オリス ビッグクラウン ポインターデイト」は、大型リューズや針で日付を示すポインターデイトが特徴。写真モデルは現行品。自動巻き。7万4550円
ところが、1990年代終わりから機械式時計の価格が全体的に上昇し始め、2000年を境にその動きが一気に加速した。

機械式時計の人気沸騰がスイスのメーカーを活性化させたのは言うまでもない。だが、それにともなって競争も激しくなり、生産設備の拡充や高付加価値商品の開発、あるいは宣伝やイベントなどに積極的に投資が行われるようになった。こうした一連の動きが価格上昇の一因とも考えられるが、その結果、ボリュームゾーンの中価格帯商品は高価格帯へとシフトしてゆき、相対的に低価格から中価格の手頃商品が品薄になってきた感は否めない。

このようなスイス時計界にあって、品質と価格の両立という難問に取り組み、コストパフォーマンスの高い機械式時計を発表し続けて人気を博してきたのがオリスである。

オリスの試みはこちらへ