予算オーバーを招く大きな原因に
標準仕様とオプションの内容をはっきりと理解していなかったために、予算オーバーになるケースがよくあります。Aさんの例をご紹介しましょう。カタログの載っていたタイル張りの住宅見て、「コレだ」と思ったAさん。ハウスメーカーと接触して、間取りや設備機器・内装の打ち合わせをし、いざ契約へ。外壁には、希望通りタイルを張ることにしました。
ところが、見積もりを見てびっくり。当初説明されていた住宅の坪単価をはるかに上回る数字が表示されていたのです。中でも、一番の希望だったタイルは、オプションとしてかなりの金額が記載されています。営業担当者に確認してみると、「標準仕様はサイディングで、タイルはオプションになる」とのこと。カタログをよく見ると、下のほうに小さな文字で、「この写真にはオプションが含まれています」と書かれていました。
「標準仕様だと思っていたのに、オプションだった」と嘆くAさん。予算におさめるため、金額の大きなタイルをあきらめるか、ほかの部分を少しずつ削っていくか、検討中だといいます。「タイルがオプションだと最初からわかっていたら、別のハウスメーカーをあたっていたのに」と後悔しているそうです。
早い段階で仕様の確認を
では、Aさんのような失敗をしないためには、どうしたらいいのでしょうか。確かに検討段階で標準仕様の中身を正確に知ることは難しいのですが、それでも早めに確認するのが一番の解決策だと思います。すべての仕様を確認することはできなくても、自分がこだわりたいところや、優先順位の高い仕様だけでも、メーカーを決めてしまう前に営業担当者に聞いてみましょう。自分がどうしても取り入れたいというものが、選んだ「住宅商品」の標準仕様になっているのか、オプションなのかを初期段階で確認すること。もし、オプションだとしたら、どのくらいのコストアップになるのか、目安の金額を聞いておくと、依頼するメーカーを選ぶときの参考になると思います。プランを煮詰めるのは、それからでも遅くはありません。
追加と変更の違い
吹抜けもオプション工事として扱うメーカーが多いようです
標準仕様とオプションの設定については、ハウスメーカーによっても、「住宅商品」によっても仕様の内容が異なるので、とてもわかりにくいものです。しかも、カタログやモデルハウスなど目で触れるものは、オプションを含んだ形になっていることがしばしばです。
そのため、前ページで説明したように「住宅商品」の特長や標準仕様を正確に理解していなかったり、カタログの写真をそのまま標準仕様で建てられる家だと勘違いしてしまうと、Aさんのような悲劇が起こってしまうわけです。
長く暮らせる家にするためには、家づくりの最初が肝心です。最もこだわりたい部分や優先させたい要素などは、できるだけ早い段階で確認を怠らないことが満足のいく住宅につながると思います。