資産運用

投資の定番はやはり先進国株式にあり

昔ならBRICs、今ではアフリカやアジアを加えたエマージングカントリーが注目されています。日本人の持つ海外資産の多くが、新興国に偏っているのは驚くべきことです。リターンの大きさばかりに目を奪われてリスクに鷹揚になっては危険です。世界分散投資のコアは、やっぱり欧米を中心とした先進国株式であるべきです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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新興国株価の下落が続いている

エジプトの政変、中国のインフレ、豪州の自然災害などの連想から新興国株式投信が売られています。特にアフリカの株価指数(MSCI EFM AFRICA)はこの1年で8.69 %もの下落です。新興国だけに投資している果敢な投資家には穏やかでは居れない日々が続いています。

こういう時期に好成績を挙げているのは欧米を中心に投資している先進国株式市場です。MSCIのG7 INDEXはこの1年で20.42%もの上昇です。いくら新興国が躍進しているとはいっても、世界の中心はまだまだ先進国にあります。投資ポートフォリオのコアは先進国株式(米国株式、欧州株式)にあるべきでしょう。

ここ数年の株式市場の騰落率を俯瞰すれば、2005年は日本株、2006年は欧州株、2007年は新興国株式が収益率第1位のアセットクラス(資産グループ)でした。リーマンショック後は、2009年のアジア株式、2010年の先進国株式が世界の株価をリードしてきました。結果を知っているのなら、株式市場の好不調にあわせて、ポートフォリオの資産配分を機動的に変えれば簡単に儲かります。

しかし、どうなんでしょう?株価のダイナミックな変動を当てられる人などいるのでしょうか?もし予測を外してしまえば、かえって損失を大きくしてしまいます。

しかも、投資するのに最適な資産配分は移ろいやすいものです。経済のエンジンは素早く大陸間を移動するようになりました。瞬間、瞬間に最適な資産配分を追求することは、コストや手間がかかりすぎることが問題です。

3年間ほったらかし作戦がおすすめ

何かに集中することは危険、かといって常に最適を追い求めることもコストに合わない、となるなら、私はこんな方法をおすすめします。それは「3年間ほったらかし作戦」です。向こう3年くらいの時間軸の中で、ベターな資産配分を決めて、それを貫くことです。

ベターな資産配分とは、可能性のあるどの資産クラスが躍進しても、その分け前にあずかることができる八方美人戦略です。例えば現在であれば、日本株、米国株、欧州株、アジア株、エマージング株を均等に20%ずつ買っていってはどうでしょうか?年率30%を越えるような大勝ちもしない代わりに、一人だけ大負けすることもないはずです。

先進国株式を中心とした穏やかな分散を3年間は貫いていく、こんな投資戦略を私は啓もうしています。ボーダーレスな世界の中で日本人の投資力を手軽に生かしていく真っ当な資産運用術です。

最後にご注意願いたいのは、国際分散の成果は米ドル建てでは十分に達成されていますが、日本円建てでは見えていないことです。それは浮気な為替レートのおかげです。しかし、これが見えてから動いたのでは(円安になってから国際分散をしたのでは)もう手遅れだということもご理解頂けますね。
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