「整理」と「整頓」は違う!
「整理」と「整頓」、一緒にやるのは難しい?
お片づけを語るとき、よく使われる言葉「整理整頓」。しかし、この言葉、本当はどういう意味なんでしょう?
整理
1 乱れた状態にあるものをととのえ、秩序正しくすること。「書庫の――」「論点を――する」
2 不要なものを取り除くこと。「無駄な枝を――する」(略)
整頓
(「頓」も整う意)よく整った状態にすること。
きちんとかたづけること。「机の上を――する」
※岩波書店『広辞苑』より
一見、どちらも「ととのえる」ことで、似通っているようですが、よく読むと違っているのがわかります。「整理」は「書庫」や「論点」のように、内容をととのえること、「整頓」は「机の上」のように「見た目」をととのえる場合に使われています。
散らかっていても「整理」されている?
「机の上や書斎がゴチャゴチャ」というビジネスマンや研究者は少なくありませんが、意外にも、その全部が全部、困っているというわけではないようです。乱雑な研究室に暮らす研究者がしばしば、「確かにこの部屋は散らかっているが、どこに何の資料があるかはちゃんとわかっている」と胸を張り、事実その通りであることが知られています。
見た目がどうあれ、そういう人にとっては、雪崩を起こしたようなデスクも書棚も「整理」された状態にあるといえるでしょう。ただ、「整頓」されていないだけなのです。
「整頓」されていても、どこに何があるかわからない?
反対に、キレイ好きで小まめなお母さんが、部屋にあるものを一つ残らずぴっちり収納したのはいいけれど、すっきり整った部屋の中でいざ何かを探そうとすると、今度は「どこに何があるのかわからない……」。
片づける過程で取捨選択をせず、要るものも要らないものも一緒に、使う人にとっての重要度を考慮せずに、「大きさ」や「形」といった見た目の基準だけで片づけると、こうなる可能性があります。つまり、「整頓」はされているけれど「整理」されていない状態です。
優先すべきは「整理」、でも「整頓」は大切
「整理」と「整頓」、お片づけでどちらを優先すべきかといったら、やはり「整理」でしょう。モノは使ってこそ持っている価値があります。どこに何があるかわからず、すぐに役に立たないのでは、いくら見た目がきれいに「整頓」されていても、楽しく暮らすことはできません。
かといって、「研究」が最優先の学者の研究室とは違い、くつろぎや団欒が求められる「家庭」では、目に心地よい「整頓」はやはり大切です。
整理と整頓をごっちゃにしない
お片づけに悩む人がよく陥る、「片づけても片づけてもちっともきれいにならない」「右の山が左に移動しただけ」というアリ地獄は、「整理」と「整頓」をごっちゃにしているために起こることが多いようです。
混乱しがちな人は、片づけながら、つねに「今自分は、『整理』しているのか、『整頓』しているのか?」を意識するようにしてみてください。要らないモノを排除すれば、整理はしやすくなります。また、「どこに何があるか」を、なるべく家族全員にわかるように整理していきましょう。これで、問題はずいぶん軽くなるはずです。
「整理」→「整頓」→「掃除」の順でうまくいく
まずは「整理」。最悪、「整理」だけで終わってもひとまずOKです。内容が整理されたら、あらためて「整頓」に取り掛かりましょう。「掃除」はそれからです! 通常、「整理」してあれば「整頓」はたやすく、「整頓」してあれば「掃除」はとてもラクになるもの。片づけにつまずきがちな人は、全部一緒にやろうとせず、分けて進めるのがコツです。