抜きんでた就職率と難関資格取得率
このような理想的な環境であればこそ、高い教育成果が生まれる。各種国家試験、特に新司法試験の合格率をみると、2006年度、受験者53名中44名の合格者を輩出しており、83%の合格率で全国トップの成績を叩き出した。公認会計士試験は2006年度大幅な改定が行われたが、2003~2005年までの大学別合格者で上位5位までに常に入っていた(公認会計士試験上位5位の常連大学は、慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、東京大学、一橋大学となっている。2006年度以降は公認会計士協会が個人情報保護の観点から各大学別合格者数を発表しなくなっている)。
大手有名企業への就職者がきわめて高いことも、一橋大学の特徴の一つとしてよく知られている。2006年度全卒業生1082名中、大学院進学者などを除くと、707名が大手有名企業に就職している。なかでも銀行、保健業界に強いのでも有名。主要な就職企業名を見ると、みずほFG、三菱UFJFG、トヨタ自動車、日本生命保険、大和証券、丸紅、博報堂DYHD、伊藤忠商事、東京海上日動火災保険など錚々たる名前が並ぶ。
このような高い成果を支えるもの一つが、約7万人の卒業生からなる「如水会」という同窓会組織。長い伝統があるにもかかわらず、卒業生の数が少ないことが密接な横の関係を構築しているようだ。一流企業や官公庁の指導的立場にある卒業生も多く、就職で有利になるのは言うまでもない。
一橋大学は一般的に、慶應のような派手なイメージもなく、ちょっと地味な大学だと思われることが多い。これは、東大のように世間に対してアピールする戦略(例えば、「東大アクションプラン」のようなもの)をとっていないことも影響しているかもしれない。ただ、一橋大学に入学した教え子の満足度は、数ある大学の中でも抜群だ。この環境の中でじっくり勉学に専念したい受験生にとって、一橋ほど恵まれた大学はそうないだろう。
一橋大学の受験科目
■第1段階選抜センター試験の6教科7科目(国語、外国語、数学、地歴、公民、理科)を素点として募集人員の約3.4倍を高得点順に選抜
■2次試験
国語、数学(数学1、 数学A、数学2、 数学B 〔数列、ベクトル〕)、外国語(英語「英語1、英語2、オーラル・コミュニケーション1、リーディング、ライティング」、ドイツ語、フランス語のうちからあらかじめ届け出た1科目)、地理歴史等(世界史B、日本史B、地理B、「倫理」・「政治・経済」、ビジネス基礎のうちから試験場において1科目を選択)