「世界一のサイドバック」の言葉も現実に近づく
複数のポジションをこなせることも、長友のセールスポイントだ。左サイドバックはもちろん右サイドバックでの実績も確かで、中盤でも高水準のプレーを披露する。いくつものポジションをカバーする彼がいることで、監督の戦術的な選択肢はグッと拡がるのだ。これもまた、名門クラブで生き抜いていくための強みになる。もちろん、前所属先のチェゼーナで開幕から全試合フル出場を続け、イタリアサッカーの特徴を肌で感じていることも、新天地への適応をスムーズにするはずだ。「優勝はできましたけれど、まだまだ上がいるし。世界一のサイドバックになるためには、やらなきゃいけないことがありますから」
アジアカップの締めくくりに語ったひと言は、早くも現実としての輪郭を帯びている。
今冬、多くの日本人選手が海外移籍へ
それにしても、今冬は日本人選手の移籍が活発だった。カズが日本人初のセリエAプレーヤーとなった90年代中期、中田英寿が欧州へのルートを切り開いた90年代後半から2000年前半に続いて、第三次越境期とも言える賑わいを見せている。長友と同じようにアジアカップで優勝に貢献した岡崎は、ドイツ・シュツットガルトの一員となった。同じくアジア王者のメンバーである細貝萌は、ドイツ・ブンデスリーガのレバークーゼンと契約を交わし、同2部のアウフスブルクへレンタル移籍した。また、アジアカップをケガで欠場した槙野智幸は、すでに1FCケルン(ドイツ)のユニホームを着てリーグデビューを飾っている。
リーガ・エスパニョーラ(スペイン)へ乗り込んだのは、家長昭博だ。かつて大久保嘉人(現ヴィッセル神戸)が所属したマジョルカで、リーグデビューが間近となっている。スペイン1部リーグでは過去に4人の日本人がプレーしているが、潜在能力をフルに発揮できた選手はいない。攻撃的センスに溢れるレフティーの家長には、ワールドカップ優勝国のリーグで日本人選手の評価を高めてほしいものだ。