経済、特に観光業に悪影響
このような大規模なデモは、当然ながらエジプト経済に深刻な打撃を与えています。もともとエジプトは観光業が経済の中で重要な産業になっており、治安の悪化やイメージ低下による観光客離れは、経済全体の低迷につながります。今回のデモは非常に規模が大きく、単に観光業への影響だけに留まらず、国の経済全体がマヒ状態になっていると言っても過言ではありません。
現在エジプトでは、食糧品が出回らず、人々は商店に殺到したり、あるいは食糧をめぐって殺人事件も起きていると報道されています。さらに食糧価格も高騰。ガソリンも不足していて、ガソリンスタンドには長蛇の列ができ、銀行など金融機関は業務を停止しています。
大統領退陣が真の解決になるのか?
チュニジアにしてもエジプトにしてもそうですが、デモ隊は何よりもまず「大統領辞任」を求めています。国の体制に不満があり、大統領がその最大の責任を負うというのなら、大統領辞任を求めることは間違いではありません。しかし、食糧価格高騰などは世界的な問題であり、必ずしも当該政権だけで解決できるものではありません。政権が変わって状況は多少緩和されても、本質的な部分は変わらない可能性が大きいと言えます。
長期・大規模デモは経済に対して大きな悪影響が出ます。実際、経済だけでなく、デモにおける死者は、すでに300人以上になっているとも言われています。今回のエジプト騒乱、現段階において出口は見えていません。