「建築に創造性と付加価値を」ベルギー・モデュラー社

住宅をいろどる「照明器具」には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、スタンドやシャンデリア、壁付けのブラケットのように、器具に明確な「姿」があって、照明と装飾とを兼ねているもの。もう一つは、ダウンライトやライン照明、間接照明のように、器具の形はあまり重要でない代わりに、建築と一体化した「光そのもの」が主役になるものです。

以前の記事でご紹介したルイスポールセン社は、どちらかといえば前者に力を入れている照明器具メーカーですが、一方、今回ご紹介するモデュラー社は、専門用語で「建築化照明」と呼ばれる、後者のジャンルに属する照明を多く作っているベルギーの照明器具メーカーです。

Modular[Cake]01

Modular社のシーリングランプ「Cake」の施工例。


モデュラーという会社、皆さんはご存知でしたか?モデュラーの器具は取り付けに工事が必要なものがほとんど。一般的な電気屋さんでは入手できないので、たぶん、多くの方にとって初めて聞く名前かもしれませんね。

一般的には機能的で無味無臭な器具の多い「建築化照明」ですが、モデュラーの照明は他とは一線を画した個性とウィットを備えています。モデュラーの哲学は、「建築に創造性と付加価値を」というもの。一体どんな器具があるのでしょうか? 早速、見ていきましょう!

Modular Japanの中島春喜さん

「モデュラージャパン」の代表取締役・中島春喜さん。

今回話をお聞きしたのは、モデュラーの日本総代理店「モデュラージャパン」の代表取締役を務める、中島春喜さんです。中島さんがモデュラーに出会ったのは、1995年のこと。当時、国内の照明メーカー勤務を経て独立されていた中島さんは、あるベルギー人ファッションデザイナーの旗艦店を乃木坂に作るプロジェクトを担当していました。そのデザイナーは、当時「アントワープの6人」の一人として世界的に知られていた、ドリス・ヴァン・ノッテンです。

「プロジェクトの最初の会議でドリスが、『今度の店にはモデュラーの照明器具を使いたい』と言ったのです。これが僕とモデュラーの出会いでした。ドリスがモデュラーの小さなカタログを持っていたので、それを見せてもらったら、すごく良かった。その後すぐにベルギーから取り寄せたカタログと器具を見て、衝撃を受けました」と、中島さん。

当時中島さんが出会ったのは、「ジャックシステム」と呼ばれる器具でした。ジャックシステムの特徴は、器具を取付けるベースが共通で、「ジャック」という名前の通り、そこに色々な形・長さの器具を抜き差しして、自由に入れ替えられるというものです。現在では、このようなシステムの照明器具を他のメーカーも作るようになりましたが、当時は前例のない考え方でした。

Modular社のジャックシステム

Modular社のジャックシステム。電源部分、スティック、灯具を組み合わせて 選ぶ器具。


「そのとき目にしたのはジャックシステムを使ったスポットライトですが、当時の日本で、こんな照明器具は見たことがありませんでした。様々な器具がシステム化されて自由に抜き差しできるだけでなく、作りがとてもしっかりしているのです。感動しました」

中島さんは単身でベルギーに飛び、器具輸入のルートを作ると、早速、大阪のインテリア家具ショップなど、いくつかのプロジェクトを実現させました。こうして日本でもモデュラーの器具を目にする人が増え、インテリアデザイナーなどを中心にファンも増えていった結果、中島さんが輸入総代理店として「モデュラージャパン」を正式に設立したのが、約15年前のことでした。

それでは、早速モデュラーの器具を見ていきましょう!