チュニジアだけの問題ではない
今回はチュニジアで革命が起こりましたが、同様の政変が起こっても不思議ではない国は他にもあります。アフリカや中東では、いまだに民主化していない独裁政権の国が多くあり、それらの国では今後同様の事態が起こってもおかしくはありません。すでにチュニジア周辺の国では、チュニジアの若者に続き、焼身自殺をする人が相次いでいます。いわば今回の革命はチュニジアだけに留まらず、今後周辺国に飛び火していく可能性を持っています。何よりも、暴動開始からわずか1ヶ月程度で政権の転覆に成功したというこの「成功事例」は、現政権に不満を持つ民衆に大きな勇気を与えた結果になりました。
「食糧危機再び? 豪で大規模洪水発生」でもありましたが、2011年の世界は食糧問題が深刻化していく可能性を残しています。独裁政権でも食べられるならまだなんとか我慢できるかもしれませんが、食料が十分でないと国民の不満は常に爆発する危険を持ちます。食糧問題が深刻化すれば、独裁政権の国だけではなく、食糧が十分に行き渡らない貧困国でも同様の暴動や政変が起こる可能性があります。
21世紀になって世界の人口はさらに増え続け、新興国の経済発展に伴い世界の食糧需要は激増しています。食糧問題は決して一時的な問題ではなく、今後は世界の人口が増え続ける限り、恒常的な問題になっていくでしょう。
リーマンショックは世界を不況へと叩きこみましたが、一方、穀物やエネルギー価格を押し下げるという「副作用」もありました。2007~08年には高騰を続けていた食糧価格が、一時的にとはいえ2009年にはかなり下がっています。しかし、2010年後半あたりから世界の景気が少しずつ回復してくるのと同時に食糧価格は再び高騰しています。
この問題は独裁国や貧困国だけではなく、日本も無視できない問題です。失業、貧困、食糧価格の高騰。どれもまだ比較的深刻ではないレベルにある日本ですが、今後事態が悪化しないと言い切ることもできません。失業、貧困、食糧問題について、もっと真剣に考えなくてはならない時代に突入したのではないでしょうか。