伝統芸能で培われた「着物文化」
「Kimono African Style」 Photographer: Claudio Marinesco
Hiroさんは、歌舞伎の時代衣装や舞台衣装をご研究されたり、日舞や能のお稽古をなさったり、どちらかといえばコスチュームとしての着物に接する機会が多かったようですね。
Hiroさん:
コスチュームと言えばコスチュームですが、歌舞伎は昔、衣装プログラムがあるほどに、ストーリー性に富んだものでした。オケージョン別の衣装のあり方は、今に通じる着物の着こなしにとって、とても重要です。
ファッションとして、人々のライフスタイルの中に受け入れられる前に、着物そのものにストーリーがあることで、オケージョンをより楽しい豊かな時間へとしていくのだと思います。表現をする上で、その人のその場にふさわしいスタイルを豊かに表現していくことを、心がけています。
「CHIC Today(英国オンラインマガジン)」for the LOVE of FASHION号 フォトグラファー Kinyaとのコラボレーションによる着物フュージョンファッションのスタイリング
広告のお仕事もなさっていますね。
Hiroさん:
広告は世間への露出度が高いため、宣伝としての広告に華を添えるとともに、着物のプロモーションにもなりえる可能性を秘めています。ニューヨークにおいての着物がどのような意味を持つのかと言えば、日本の民族衣装というイメージに留まらず、世界のファッションとしての意味合いも持ち合わせていくことと思います。
ガイド松本:
白人や黒人の方もモデルをなさっていますが、私たち日本人から見ると、身近な着物がとても新鮮に感じられます。
Hiroさん:
世界へファッションとして認知していただくように、肌の色にはこだわらず、美しさの表現を追求した作品にしようと思い、様々なモデルさんを起用いたしました。アメリカで着物に興味を持っている大半の方たちは、芸者さんを描いた映画など、日本の世界観が好きで着物に興味を持つ人たちが多いようです。とはいえ、日本特有の歴史や風土や文化の理解が必要となると、着物に対する敷居が高くなってしまうので、着物そのものをファッションとして身近にコネクトできる存在にしたいと思っています。
着物は素晴らしい優美さだけではなく、ストーリーのあるものなので、それを美しさに凝集していくことは大変な表現です。しかし、それだけの強さがあるので、逆に白人の方が着ても黒人の方が着ても、美しい物は美しく存在出来るのだと思いました。
引き続き、色や柄の好みの違いなど、インターナショナルな着物の可能性について、お話をお伺いします!