古民家/古民家探訪

米国人宣教師が建てた明治の近代洋風住宅

東京都豊島区に保存・公開されている旧マッケーレブ邸。この建物はアメリカ人宣教師マッケーレブが明治40年に建てた家です。今回は、19世紀のアメリカ郊外の住宅の特色を色濃く残しているこの洋風住宅を紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

明治時代に建てられた近代木造洋風住宅

東京都豊島区の都立雑司ケ谷霊園近くに、アメリカ人宣教師が暮らした「雑司が谷旧宣教師館」が保存・公開(ただし、2011年3月末まで補修工事のため休館)されています。この建物は、宣教師マッケーレブが1907(明治40)年に自邸として建てたものです。1992年(平成4)年には豊島区の有形文化財として指定され、1999(平成11)年には、東京都有形文化財に指定されています。
外観

木造二階建ての建物はすでに築100年を超えていますが、補修など手が加えられ、今もきれいに保存されています

宣教師マッケーレブは、1892年に妻のデラとともに来日。1907年から雑司が谷に移り住み、この家を建てました。その後、ここを拠点に布教活動を熱心に続けたのです。

19世紀のアメリカで流行したコロニアル様式

この建物は1階、2階ともにほぼ同じ間取りになっています。屋根は寄棟で、外壁は下見張り。窓はほとんどが上げ下げ窓です。
広縁

東側と南側には多数の窓が並ぶ広縁があります。ここはベランダのようでもあり、この建物がコロニアル様式だと言われる所以でもあります

設計者はよくわからないそうですが、下見張りの外装仕上げや、東から南側にかけて設けられたコロニアル風の広縁などの特徴は、19世紀のアメリカの住宅によく見られる様式だということから、アメリカ人によるものだと考えられているようです。
食堂

東南の角にあったのは食堂。室内窓の向こう側が広縁になっています

東側から南側にかけて家を取り囲むように設けられた広縁はこの建物の特徴的な場所です。暑い夏は直射が室内に入るのを防ぎ、寒い冬は広縁から室内に柔らかい日差しが入り、明るく、心地よい空間になるように設計されています。

次のページでは、建物の細部を見ていきましょう。

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