赤ちゃん・育児特集/子育てライフスタイル

トルコの出産・子育て事情(2ページ目)

トルコの出産は帝王切開か無痛分娩がほとんど。日本のように痛みを感じてこそ母という美学よりも、取り除ける痛みはとことん取り除くというスタンスが基本です。

執筆者:安尾 亜紀

トルコベビーのお祝いの儀式いろいろ

お祝い返し

これは男の子が生まれた場合のお祝い返しで、女の子だとたいていピンク。妊娠中からこれを何百個も準備しておくママもいる

イスラム教徒が多いトルコには、ベビーが生まれるとモスクの僧侶にコーランの一節を詠んでもらうメブリトという儀式があります。女性だけが集まり、鶏肉ピラフやお菓子などがふるまわれ、皆で赤ちゃんの健康と幸せを祈ります。

赤ちゃんが男の子だと、生まれてすぐ割礼させる場合も。普通は2~14歳に行われるのですが、その恐怖や痛みが後々トラウマになることがあると言われているため、最近では式を後回しにして割礼そのものは生後2日目あたりに行う人たちが増えています。

生後40日目前後にはクルックラマという儀式もあります。これはきれいに洗った小石40個を入れたお湯で赤ちゃんを洗う慣習ですが、小石の代わりに40粒の小麦を入れたり、赤ちゃんではなく肌着を洗ったりと、地方によってやり方は様々。トルコのベビーは40日目を境におでかけやお風呂が始まるので、そうしたステップへの通過儀礼だと考えられています。

ディシ・ブーダイ

ディシ・ブーダイのお祝い。お客さんの数だけあるカップのうち、一つには金貨がしのばせてある

占い

色々な道具の中から最初に選んだものから将来の職業を占う。本なら作家、はさみなら美容師、など

この他ディシ・ブーダイというお祝いは、赤ちゃんに初めて歯が生えたことを祝して小麦とドライフルーツ、ナッツ類を煮込んだものを皆で食べる習慣で、小麦の中から金貨が出てきた人はベビーに洋服一式を贈らなければなりません。その後床に敷いた布の上に様々な道具を並べ、赤ちゃんが最初にどの道具をつかむかによって将来の職業を占うこともあります。


 

トルコの子育て事情

トルコでは卒乳がかなり遅く、2歳過ぎまで母乳を飲んでいる子も少なくありません。母乳にはいつまでも栄養がたっぷり含まれていると考えているママが多いからのようですが、一方で離乳食には白チーズ、バター、オリーブオイル、ペクメズ(ブドウのシロップ)などが使われ、栄養価が高いもののかなり高カロリーなメニューです。

トルコはかつての大家族制度のなごりもあってか、子育ても家族みんなで協力し合っていこうという意識が強く、日本のように母子のみが孤立した生活を送ることはあまりありません。出産直後には実母や義母が連係プレーでママの家に泊まり込みに行くし、子どもが病気になったら夫が会社を休むのもよくある話。こうした感覚は家族内に限らず社会全体にも行き渡っており、例えば買物中は店員さんが子どもの相手をしてくれたり、レストランでは隣のテーブルの人が子どもと遊んでくれるなど、他人の子どもに対しても皆がサポートをおしみません。

それでもイスタンブールのような大都市は核家族化に伴って家族や社会がヘルプできることにも限界が。そこで近年デパートやレストランにもおむつ替えや授乳室、遊び場などが作られるなど、少しずつ町全体の設備が整い始めています。今、トルコは子育ての面でちょうど古き良き家族制度と近代核家族制度とのはざまにあるのかもしれません。


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