宙に浮くテラスと狭さを楽しむ和室
リビングの西側のガラス引き戸の先にはテラスが続いています。広さは約7畳。パイプの手摺から下を覗くと大きな井戸のよう。逆に地下のドライエリアから見上げると、約9mの高さがあります。鉄のグレーチングの上にウッドデッキを目透かしで敷いているので、下から見上げると宙に浮いているような感じです。南側の壁には斜めに切られた縦長のスリットがあり、ここから心地よい風が吹き込んできます。
また忘れてならないのは1階の和室です。広さはわずか四畳半。塗壁、竹、葦簀、和紙といった定番の素材で造りあげた、まるで茶室のような空間です。ここは「いつも使うわけではないけれど、非日常を感じることができる場所を」というKさんの願いから生まれた、狭さを楽しむ「こもれる」部屋なのです。
この家は、遊び心を感じさせる様々な仕掛けに溢れています。「Kさんご夫婦のアイデアを取り込んで、一緒につくっていった感じですね」という中島さん。陽の当たるテラスで、これからの住まい方について談笑する姿に、建て主と建築家の理想的な関係をかいま見たようでした。
◆建築データと建築家プロフィール