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相互厭人的読書生活2(2ページ目)

ガイドの読書記録です。今回は2011年1月4日~10日まで読んだ本をとりあげます。中島京子『エルニーニョ』、海堂尊『モルフェウスの領域』など。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド


取材資料読書週間

モルフェウスの領域

海堂さん初めての純愛ミステリー!角川書店刊。

直木賞候補作のうち、道尾秀介『月と蟹』、貴志祐介『悪の教典』は既読。『月と蟹』は、三島由紀夫の『午後の曳航』を思い出した。『午後の曳航』のように残酷なまま終わらず、救いがあるところが道尾さん。

『悪の教典』は殺人鬼のユニークな言動に大笑いしながら、一気読みした記憶がある。ただ、貴志さんの作品だったら『新世界より』のほうが断然好き。人間の想像力に対する祈りが、奇想あふれる物語に込められている。

芥川賞候補作で唯一、単行本が発売されている小谷野敦『母子寮前』も買ってあるのだけれど、その前に取材資料を読まなければ。

まず海堂尊『モルフェウスの領域』。海堂さんにお会いするのは、デビュー作でインタビューしたとき以来。

桜宮サーガの新ヒロイン、日比野涼子は、父親と一緒に第三世界の小国を流浪し、各国領事館の図書館に入り浸って、十数カ国語に対応できる語学力を身につけた。本ばかり読んでいる内気な少女だった涼子の
――外で動き回る人だって、本当に世界を見ているわけじゃない。
紙上の虚数空間も、それを認知した時点で、実世界になるのだ。
という言葉にいきなり共感。コールドスリープを題材にしたSFミステリーだが、純愛ものでもある。

次は23年という時間をかけて書かれた超大作。
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