ロングクルージングに出かけたくなる
3列シートを有するRクラスだが、ルーフが低く、フロアもVクラスのように高くないため、少し背の高いワゴンに乗っているような運転感覚になる。巨体なだけに狭い場所での取り回しには気を使う。とくに1920mmの全幅は、グランドボイジャーの2m超えほどではないが、日本で買えるミニバンの中でもかなりワイドだ。しかし、メルセデスらしくステアリングの操作感にあいまいさは微塵もなく、思い通りにボディコントロールができるのが美点。物理的なサイズでは当然ワイドではあるが、慣れてしまえば思いのほか気軽に扱えるようになるだろう。住宅街はもちろん、高速道路やワインディングでも狙ったラインを描けるのは価格に見合う価値といえる。パワーも十分以上
今回はパワートレインやシャーシには手が入っていないという。しかし、レポーターがRクラスに乗るのがデビュー以来久しぶりだったせいもありか、記憶よりもかなり乗り心地がいいのが朗報だ。ダンピングの効いた乗り味で、路面が悪くても大きなボディが不快に揺すられることはない。また、2.2tを超える重量級だが、アクセルを踏み込めば欲するだけのパワーを十分に得られるのも美点だ。スポーツカーのように背中を蹴られるような加速感ではないが、停止状態から急勾配を駆け上がるようなシーンでも不満を感じることはなかった。
上質な7人乗りメルセデスなら
さて、800万円に迫るRクラスだが、ターゲットユーザーは、たとえばエルグランドやアルファードなどの日本の高級ミニバンに乗るような人とはかなり違うだろう。エルグランド、アルファードが高級とはいえ、Rクラスと比べれば軽く2台買えてしまう価格なのだから。メルセデスのラインナップで7人以上が乗れるのは、VクラスとRクラスのみ。Rクラスのメリットは、Vクラスとはひと味違う上質な乗り味とシートを脱着せずとも広大なラゲッジルームを生み出すことができること。さらに、4WDなのでスキーエクスプレスとしても適任だ。そう考えると、イザという時に7人乗れるメルセデスで、しかもミニバンっぽさよりも上質なセダン、ワゴンライクなモデルを求めている人に行き着く。ファーストカーでもセカンドカーとしても役割を担え、しかもこうしたニッチなモデルが日本で買えるという点でも貴重な存在だ。