端正なモダン空間で憩いの一滴を
ウェグナーの椅子、特別注文のウォールナットのテーブル、落ちついたトーンの壁。さまざまな木の色調が美しい。
自然を感じられる素材にこだわり、石とコンクリート造の高層ビルが林立する丸の内界隈を歩いてきたお客さまが、一保堂ののれんをくぐった瞬間に、木のぬくもり、お茶のほのかな香りに包まれてほっと心が潤うようにデザインされています。
お茶の「素材感」をまるごと伝えるために
この日の抹茶には東京・富ヶ谷の「京菓子 岬屋」の黄身時雨が添えられました。
「同じ品種の茶葉でも産地によって味の個性が異なり、それぞれに適した淹れかたがあるんですよ。茶葉の中に隠れている旨み、甘み、渋みをどのようにしてお湯の中に引きだすか。ぜひ喫茶室でじかに体験して、その面白さに触れていただけたらと思います」
のどを潤すお茶、味わうお茶
一人客も気兼ねなく楽しめるよう、カウンター席が設けられています。
お茶の飲みかたには二種類あり、のどの乾きを潤すためのお茶と、ゆっくり味わうお茶があります。
「のどを潤すならあっさりした飲み口の【番茶】に分類されるお茶、たとえば【極上ほうじ茶】をお選びいただくと、香ばしく軽やかな甘みでリラックスしていただけると思います。
味わうお茶でしたら【玉露】か【煎茶】、【抹茶】。いずれもコクが豊かで旨みの充実したものから、すっきりした渋みを楽しむものまで計12銘柄をご用意していますので、お好みでお楽しみください」
1煎ごとに味わいの変化する煎茶。次ページで、その複雑で多彩な表情をもう少し詳しくご紹介しましょう。