金沢で触れる能楽の魅力
金沢には「空から謡(うたい)が降ってくる」という表現があります。「謡」とは能が演じられる時の歌のことですが、これは庶民までもが謡に親しんでいた様子を表したもの。江戸時代に加賀藩の殿様が武家だけではなく庶民にも奨励したことから「加賀宝生」として発展し、幅広い層に親しまれることになったのです。この表現は「昔の言い伝え」になっていますが、能自体は今もなお金沢で太く息づいています。 「金沢に能を楽しみに行く」そんな風流な旅も面白いかもしれません。
リニューアルオープン! 金沢能楽美術館
能というと「難しいもの」「敷居が高いもの」と考えられがちですが、庶民にも親しまれていたという歴史が金沢には残っています。現代の私たちにそんな能の魅力を教えてくれるのが金沢能楽美術館です。さらに能に親しめるように、2012年秋にリニューアルオープンしました。
リニューアルオープンの目玉は、能装束の着装体験です。本物の能装束と能面を身につけて記念撮影もできるとあってとても人気のあるコーナーです(入館料のみで体験ができるのも魅力!)。
着付けをしてくれるのは、金沢のボランティアガイド「まいどさん」。生涯学習の場「ボランティア大学校」の講座を受け、自らも勉強を続けている金沢観光の専門知識を持った人たちです。
実際に能面を付けると、前方は意外によく見えましたが、下の方は視界が狭くて足を踏み出すのもやっとです。遠い世界だった能が、少し近く感じられた瞬間です。
「能役者が舞台で演じるときは、感覚で覚えているそうです」などと、まいどさんが着付けをしながら、いろいろな話をしてくれてより一層思い出深い体験になるのも魅力です。
1階部分の新たな展示に、「能面」が多く取り入れられています。建物の外からも能面がよく見え、そのインパクトの強さにそばを通るだけでも目が奪われます。
美術館では春から夏にかけて初心者向けに能面を作る講座を開いており、熱心な作業風景を見学することもできます。また秋には全国からの公募による「現代能面美術展」が開かれています。
一方こちらは前からあるミュージアムグッズ。収蔵品の能面や能装束、能装束の模様を加工してマグネットにしました。1個150円とお手頃価格とあって、修学旅行生にも人気の商品です。
実際に使われていた能装束や能面、歴史的な絵図など貴重な品が、設定されたテーマのもと紹介されています。ひとつひとつの品が丁寧な作り、重厚な作りになっていて、緊張感と迫力が感じられます。
さらに、石川県立能楽堂で開催される公演を前に、上演作品の解説講座や、能楽コンサートなど、イベントも盛りだくさん。お正月は2日から開館するため、初詣帰りに足を運ぶ人もいるということです。
■金沢能楽美術館
住所:金沢市広坂1-2-25
TEL:076-220-2790
入場料:300円
※金沢21世紀美術館共通券(コレクション展のみ):500円
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合はその次の平日) 年末年始(12月28日~1月1日) 展示替期間
アクセス:金沢駅からバスで約10分「広坂(ひろさか)」または「香林坊(アトリオ前)」下車徒歩5分(兼六園から徒歩1分)
地図:Yahoo!地図情報
次ページで能楽堂をご紹介します。