見直し後の個人向け国債は、低金利で有利になる
現在の計算方法では、低金利の時に金利は低くならざるを得ません。現在の10年国債の金利は1.3%程度です。現行の計算式に当てはめると1.3%-0.8%ですから、金利は0.5%になります。一方、新しい計算式に当てはめると1.3%×0.66%ですから、金利は0.858%になります。新しい計算式の方が金利が高くなりました。
今回の見直しは、低金利では個人向け国債の金利が低くなってしまうので、少しでも金利を高くしようと行われるのです。ですから、低金利の時には有利になるのです。
見直し後の個人向け国債は、高金利ではほどほどに
しかし、よく考えてみましょう。金利が低い時にお得ということは、金利が上昇してもお得なのでしょうか。実は、ある一定よりも金利が高くなると、現在の計算式の方が金利がお得になるのです。どの程度金利が上昇したら金利が金利の逆転が起こるのかを、下の表にまとめてみました。
表を見てわかる通り、金利が2.37%よりも高くなった場合には、現行の計算式の方が金利が高くなります。低金利が続く当面は計算方法の見直しが行われることで恩恵を受けることになりますが、金利が2.37%を超えた時点で現在の計算方法が良かったということになります。
ただ今回の見直しは、低金利の現状ではお得であることに間違いありません。10年国債の利回りを過去10年見ても、金利が逆転する2.37%以上になる可能性はまったくないわけでもありませんが、少ないかもしれません。
見直し後の個人向け国債はどう使う?
変動金利10年型は、これまで金利上昇に素直に連動して金利が上昇する点が魅力でした。しかし、計算方法の見直しによって、その上昇幅は金利の大幅な上昇にほどほどに連動することになります。見直しが行われれば、変動金利10年型は低金利の現状、高金利の商品になる可能性が高いと言えます。満期までの期間が短いならまだしも10年ですから、金利が高くなった場合には、他の商品の金利が有利になる可能性もあります。中途解約のペナルティを払ってでも預けるのか、低金利では有利だからと割り切って預けるのか、悩ましい限りですね。
参考:財務省個人向け国債