女性の健康/月経と妊娠・避妊・排卵予定日・基礎体温

妊婦健診はなぜ必要? 飛び込み出産が危険なわけ

女性にとって人生の一大イベントである妊娠・出産。「飛び込み出産」という言葉が一時期話題になりましたが、そもそもなぜ妊婦健診が大切なのでしょうか? 妊婦さんや赤ちゃんの安全を守る産婦人科医の視点から、「妊娠・出産で知っておくべきこと」をお伺いしました。

山田 恵子

山田 恵子

女性の健康 ガイド

医師

東京大学医学部卒業。整形外科専門医、認定産業医。東京大学医学部医療情報経済学、ハーバード大学研究所客員研究員等を経て、東京大学医学部附属病院整形外科。ロコモチャレンジ!推進協議会委員。研修医や救急医療でのハードワークで体を壊してしまった経験を含め、現代社会で頑張る女性に役立つ健康情報をお届けします。

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『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』の著者でもある、産婦人科医の宋 美玄先生に、妊娠・出産について伺いました。

産婦人科医から見た妊娠・出産

妊娠・出産は昔は命懸けでした

昔は命がけだった妊娠・出産。現在の妊娠・出産も決してリスクがないわけではありません

――まず最初に、産婦人科医から見た妊娠・出産について教えてください。

そうですね。前回のセックスの話では、セックスに関する話を公にするのがためらわれるためか、女性がパートナーの言葉に一喜一憂して悩んでしまうことが多い、というお話をしましたが、妊娠・出産に関しては逆。女性からの体験談が数多く耳に入りすぎて悩んでしまうケースが多い気がします。

でも、何千とお産を見ていて言えることは「妊娠・出産は本当に一人一人違う」ということです。だから妊娠出産に関しては「こうあるべき」というものはなく、その人それぞれだと理解して欲しい、と考えています。

――日本は母体死亡率や周産期死亡率が世界一低く、医療技術が発達しているゆえに、お産が安全なものだと考えられていますが、産婦人科の先生とお話しすると「お産で死ぬかもしれない」と思われていた昔の感覚が頭の片隅にいつもあるんだろうな、と感じることが多いのですが。

もちろんですよ。言葉で言ってしまえば簡単ですが、妊娠・出産は必ずしも安全なものではありません。もともとリスクが高いと言われている方だけでなく、リスクが少ないといわれていた方でも、現実に何がおこるかわからないという怖さを、お産を扱う医師であれば、身に沁みて知っています。

もちろん妊娠・出産は女性にとって一大イベントですし、良い体験であって欲しいと心から願っていますが、そういった面があるという事実もどこかで理解していただければ、と思っています。

妊娠中に定期健診を受ける意味

――妊娠中に病院に通院しなければならない理由がわからない人も多いようですが……。

日本は世界的に見ても妊婦健診の回数が多いのです。それだけ妊婦さんや赤ちゃんをきめ細かく見ていると言えると思います。妊娠中の通院では、主に以下の点をチェックします。

・ 初期検査で子宮がん検診や血液検査を受けると様々なことがわかります
・ エコーで赤ちゃんの発育や胎盤が正常かどうかが確認できます
・ 血液や尿検査で妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や妊娠糖尿病をチェックします

とくに「妊娠中毒症」は死に至ることもあるので、注意が必要です。

また、妊娠の初期検査は、普段病院に行くことがない健康な女性が自分の身体をチェックする良い機会になるという側面もあります。

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