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灘高等学校

隣には住吉川が流れる閑静な住宅街に広大なグランドを2つ有する灘校。1928年の開校以来、校是に「精力善用」「自他共栄」という柔道の精神を掲げている。

執筆者:稲葉 雅也

ニッポンノ灘

隣には住吉川が流れる閑静な住宅街に広大なグランドを2つ有する灘校。1928年の開校以来、校是に「精力善用」「自他共栄」という柔道の精神を掲げている。

初代の真田校長によって作られた教育方針は、「自分の価値観、信念のもと、物事を判断し行動できる知と、勤労を喜び、他者と共に生きる共生の心とそれを支える強靭な体の知・徳・体を備え、豊かな教養に裏付けられた品性を持つ、健全な社会人に育って欲しい」であり、この方針のもと、現在では全国屈指の進学校として名を馳せている。

校風はあえて言うなら「自由闊達」。校則はなく、入部率が80%を超えるクラブ活動、生徒会や地域ボランティアなどの自主的活動を通じて、社会人に必要な「協働力」とでも言うべき力をつけている。中学校からの入学者は、「担任持ち上がり制」による「6年完全一貫教育」だ。これは、中学校入学時点で、英数国理社の5教科から各1名以上、副教科4教科から1名の合計6~7人が担任団を結成し、高校を卒業するまでその学年を指導する

このメリットを最大限に活かそうと、基本的にひとりの教師が6年間ひとつの科目を担当する。生徒の理解度を把握した上で授業を行うため、授業そのものに無駄が生じない。教科によって、例えば数学などは、中学2年から3年頃には高1の課程を終え、高2には高校課程を修了する。

さらに授業の進度同様に深度も重要視しており、「学びの深さ・考える力」の育成を目指している。勉強でわからない時には「友だちに聞く」生徒が一番多いという「ニッポンノ灘」こと日本を代表する名門男子進学校である。

内部進学者と切磋琢磨する高校からの入学者

日本を代表する進学校の灘

日本を代表する進学校の灘

高校からの募集は、40名のみ。ホームルームのクラスは、内部進学者と混合だが、数学や国語などの授業は、進度と深度の違いから別クラスだが、それ以外は混合クラスで、高2からはまったく区別がなく、一緒のクラスになる。

高校からの生徒は、各地から集まってきており、目的意識をはっきりと持っている点において内部進学者と違う個性を持っているという。この両者が刺激し合って、勉強でもクラブ活動等でもよい厳しさが増すそうだ。

同校の場合、「高校から入学しても学力的についていけるのか」と心配されることも多いが、学年の結束力と担任団の強力なサポート、そして本人たちのやる気で何の心配もないとか。高校から入学した生徒たちのクラブ入部率が、内部進学者とさほど差がないことが一つの証だ。

在校生のほとんどが東京大学、京都大学といった最難関大学への進学を希望する同校。しかも「医師になりたい」と志を高く持つ生徒が多い。だからこそ、様々な仕事の社会的意識を知って欲しいと高校1・2年生を対象に、学問研究や社会の第一線で活躍する卒業生を招いた「土曜講座」を年30回以上開催している。

特に医学・生理学分野については、地域医療、最先端医療などのジャンル別で実施することで、「なぜ、自分がその道を選んだのか」「その仕事の社会的な意味」など、現実を知る機会をふんだんに設けている。さらに生徒会の取り組みとして、「土曜講座」の貴重な機会をより広く活かすために「土曜講座」のデータベース化も行っている。土曜講座担当者制度も導入し、ほとんどの高校講座に生徒会から担当者をつけ、事前に生徒側で学んでおくべきことがあれば、担当者を中心に準備し、より充実した講座にしようとしている。これもまた灘らしい取り組みである。

灘の大学進学実績

2010年度の主な実績としては、国公立大では、東大103名、京大35名、大阪大23名、神戸大9名、京都府立医科大14名など。私立では、早稲田37名、慶應46名などとなっている。

灘の入試傾向

募集人員は約40名。入試科目は数・理・英・国の4科目。数110分、理70分、英90分、国70分で各100点の400点満点。面接は実施しない。60%くらいが合格最低点ライン。

灘の学費(2010年度)

入学金 250000円
授業料 432000円(年額)
維持費・冷暖房費・生徒会費等 145800円(年額)
初年度年間納入費用 1077800円
※修学旅行積立金などは別途費用が必要。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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