株式戦略マル秘レポート/川崎さちえの「暮らしのキラリ☆銘柄探し」

七五三ビジネスに見た成功のカギは「分散」だった(2ページ目)

七五三ビジネスのことを考えてみました。売上がどこで取れるのかというと、10月、11月に集中するのではないでしょうか。ここに危機感を覚えて改革に乗り出した会社があります。それがスタジオアリス。その改革の内容は?

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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スタジオアリスの戦略 

スタジオアリスでは、繁忙期が決まってしまっていて、これを懸念し、どうにか打開するという意味でも「ハッピーバースデー七五三」という企画を打ち出しています。これは文字通り、誕生日に七五三をしましょうということ。つまり、一般的に七五三の時期である10月や11月でなくても七五三の衣装を着て写真を撮りましょうという企画です。もちろんその日限定ではなく誕生日の前後1カ月であれば、子供用の時計や写真立てなどがもらえるというメリットもあります。

当然、会社側としては七五三の写真撮影の分散化がはかれるという最大のメリットも。

さらにHPを見てみると「マタニティ」や「ハーフバースデー」という文字が。七五三だけではなくて、生まれる前の母親の姿を残すとニーズもあるのかと感心しました。実際妊婦の場合には年間1万6000件程度の撮影があるとか。

ハーフバースデーというのは、生後6カ月前後の赤ちゃんを撮影するというもの。マタニティ撮影の延長線上にあるような気がしますが、おそらく、ここからさらに七五三にまでつなげるのが目的の1つでしょう。

顧客を育てる

顧客を育てるという発想が重要なのかもしれない。

顧客を育てるという発想が重要なのかもしれない。

ようするに、1本の線で結ぶことが重要なのだと思います。1人の子供がいたときに、妊婦さんから考えればけっこうな数の写真撮影が見込まれます。もしかしたら入学式や卒業式のたびに記念写真を撮るかもしれないし、成人式だって待っています。そう考えると顧客を育てるというイメージでしょうか。

そのためには、質の高いサービスも重要だから、10月、11月に集中する七五三の写真撮影を分散させようということになるわけです。

あとは衣装でしょうか。スタジオアリスの場合には、鮮度を高めるために、衣装への投資もどんどん行われています。普通衣装がどの程度もつのかはわからないのですが、洋服の場合は2年、着物の場合は3年で入れかえるので、年間7万着以上が入れかわるそうです。

結局のところ、いかにお客さんの出入りの時期を分散させるかがスタジオアリスの課題だったわけです。おそらく、こういった課題を抱えている会社もたくさんあると思います。何かにこじつけてでもいいから分散させることで、サービスの向上、リピーターの創出をする。そしてさらなるビジネスとして成長していく。おもしろい流れだなと思いました。
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