帝王切開/帝王切開

帝王切開での出産体験を受け入れられないとき(2ページ目)

帝王切開は母と子を守る手術ではありますが、たとえ赤ちゃんが元気で産まれてきてくれたとしても、その体験をなかなか受け入れられないことがあります。特に、緊急帝切ではその傾向が強くなります。自然分娩を望んでいたのに、帝王切開でお産になった場合、程度の差はありますが、「普通の女性ができること(経膣分娩)ができなかった。」といった喪失感を覚えます。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

気を紛らわしたり、我慢をしたりして受容することが多い

帝王切開の体験が引き起こす、心の中の緊張を和らげようとするため、体験者がする一連の行動をコーピングといい、主に下記のようなパターンがあります。

  1. 問題解決型:人の話を聞いて安心しようとする、今できることをするようにする
  2. 回避型:何も考えないようにする
  3. 情動抑型:我慢して、時が過ぎるのにまかせる
  4. 気晴らし型:夫や友人に気を紛らせてもらっている
  5. 社会的支援型:人に話を聞いてもらう、人に話して認めてもらう
  6. 状況の見直し型:よかったと思うようにする
  7. 問題受容型:仕方のないことと思うようにする

このうち、日本では情動抑圧型・気晴らし型といった、情動中心型コーピングで受容しようとする体験者が多いようです。

病院でのメンタルサポートはまだ発展途上

もし、あなたが帝王切開となり、葛藤の只中にいるとき、それは、予期せぬことが起こった時の、正常な心理の変化と思ってください。可能であれば、少しでも、その時に感じている、そのままの気持ちを表出できればいいのですが、自分が帝王切開をした病院でさえ、そんな葛藤に適切に対応してくれるスタッフは少ないでしょう。僕は、今年から、病院スタッフに対して「帝王切開を受けた方へのケア」というワークショップを企画して、この問題に取り組み始めましたが、参加してくれるほとんどの病院スタッフたちは、これまで帝王切開を受けたお母さんたちのそんな思いに気づくことはなかったと話されています。まだ、時間はかかるでしょうが、病院も確実に変わってゆきます。

体験者のコミュニティーの役割が大きい

今はまだ環境が整っているわけではありませんが、帝王切開を受けたもの同士がつどい、気持ちを共有するコミュニティは大きな存在になっています。
2回の流産のあと、3人の女の子を帝王切開で出産した細田恭子さんは、自らの体験をもとに、2000年2月に「くもといっしょに」という、体験者参加型のサイトを立ち上げています。

僕も細田さんたちとも協働し、必要な者に、適切な帝王切開の情報が届く環境を整えらればと思ってっています。
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