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「内職(家内労働)」と「在宅ワーク」はどう違う?

自宅を仕事場しているため、「在宅ワーク」と混合されがちな「内職」。どちらもワークスタイルの1つですが、実は全く違う働き方なのです。

宮田 志保

執筆者:宮田 志保

テレワーク・在宅ワークガイド

「自宅で作業をするのだから、内職も在宅ワークもかわらないでしょう?」という質問をいただくことがあります。確かにどちらも自宅を仕事場とすることでは一致していますが、実は全く違う働き方なのです。

内職には「家内労働法」が適用されます

内職は別名として家内労働と呼ばれています。家内労働には、「家内労働法」という法律があり、家内労働者は労働環境について守られています。これに対し、在宅ワーカーやSOHOと呼ばれる個人事業主は、ガイドラインこそありますが法律はまだ制定されていません。健康面や業務上のトラブルなどは、自己責任において管理することが大きいのが現状です。
【参考リンク】
家内労働法(厚生労働省ページ)
在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン(厚生労働省ページ)

では家内労働者とは、どのような働き方をする者なのでしょうか。その定義については、家内労働法から抜粋します。少々難しい文章となっていますが、ぜひ原文を読んでみてください。

「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。」(家内労働法 総訓(定義)第2条抜粋)

定義として「委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者」ですから、商品や製品など手作業で組み立てたり、宛名を書いていくような仕事が多いようです。具体的な仕事例をだすと土産物の組み立て、うちわなどの取手付けやヒモ付け、ダイレクトメールのシール貼りなどがあげられます。

仕事を依頼する立場についても異なります。家内労働を委託する場合、委託者は毎年、管轄の労働基準局に委託状況届を提出しなければいけません。社内においても、家内労働者別に帳簿を備え付けないといけないなどの法律があります。

また、家内労働者には、家内労働手帳というものが委託者(内職をあっせんする会社)より交付されます。手帳には、仕事が発生するたびに、手帳にある注文伝票に内容を記載していかなければなりません。これも個人事業主である在宅ワーカーとの大きな違いです。

工賃の支払いは、原則として1ヶ月以内

お金のやりとりについても、内職(家内労働)と在宅ワークでは全く異なります。まず在宅ワークは請負ですから、成果物を納品し校閲を受けて完了したら、クライアントの支払いサイトに合わせて請求書を発行します。実際に銀行に振り込まれるまでには、2ヶ月程度かかることが多くなっています。

それに比べ内職(家内労働)では、家内労働手帳にある受入伝票などの記載により、委託先より法律的には、物品を受領した1ヶ月以内に支払われることになっています。報酬についても工賃という言い方を使用します。

家内労働手帳とは、手帳と名前がついていますが、実際の現場では受発注や納品の確認のために用いられています。そのため、仕切書にて代用されていることも多いようです。1ヶ月の締日で区切られており、この手帳をやりとりすることによって、内職者と委託者がそれぞれに業務を管理することができます。

工賃についても、手帳を基に料金を算出し、内職者に支払われます。賃金が低いせいか、手数料のかかる銀行振込ではなく直接手渡しにて支給されることが多いようです。

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