暮らしの法律/男女・夫婦問題

痴漢・ストーカーの基本

痴漢のような卑劣なわいせつ行為や、恋愛感情のもつれによる執拗なつきまといなどは、これまで少なからず放置されてきたといえるでしょう。しかし、これらの行為が社会問題化し、これらを規制する法律も成立されました。ここでは、痴漢・ストーカー行為について法的な観点から解説します。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

痴漢とは?

痴漢

痴漢にまつわる刑罰は多い

痴漢とは、人に対して性的な言動や卑わいな行為などの性的嫌がらせをすることです。痴漢の具体的内容によって、刑法の強制わいせつ罪や東京都をはじめとする各都道府県の迷惑防止条例違反、場合によっては、器物損壊罪や公然わいせつ罪、軽犯罪法違反などの犯罪に問われます。

たとえば、衣服や下着の上、あるいは身体に直接触れて、手で下半身や尻、胸、ふともも等を撫で回す行為や、背後から密着して、身体や股間を執拗(しつよう)に押しつける行為、衣服のボタンやブラジャーのホックなどをはずす行為などは、「強制わいせつ罪」または「迷惑防止条例違反」となります。エスカレーターや階段などの場所で、スカート内をカメラやビデオで盗撮する行為なども迷惑防止条例違反です。また、スカートなどの衣服を切り裂いたり、衣服に精液等を付着させる行為などは「器物損壊罪」、公衆の面前で下半身を露出する行為は「公然わいせつ罪」、つきまとい、のぞき等は「軽犯罪法違反」です。

痴漢は、路上や様々な施設内でも発生しますが、狭い空間に多くの人が密集するという場所的特殊性から、特に電車内での発生が多くなっています。他方、最近は痴漢をやっていないのに、痴漢に間違われてしまい刑事罰を受けるという「冤罪」も増加しています。


ストーカーについて

桶川女子大生殺人事件のように、ストーカー行為が、殺人というような重大事件に発展するようになったのは、比較的最近のことです。このようにストーカーが社会問題化し始めた背景には、都市化、少子化、女性の社会進出、情報社会、IT革命などの、欧米等の先進諸国と共通の社会基盤があると言われています。

わが国では、急激に増加したストーカー問題に対処するため、2000年11月に「ストーカー規制法」が施行されました。この法律では、警察が中心となりストーカー被害救済を行なう内容となっています。かつての警察は、殺人、傷害、強姦などの犯罪行為に発展しない限り、ただ、自宅の周囲をうろついたり、尾行したり、執拗に電話をかける等の行為があっただけでは、積極的に取り締まることはありませんでした。しかし、ストーカー行為が殺人や強姦などの重大犯罪と密接な関連性を有していることも判明してきており、今日では、ストーカー規制法に基づく警察の積極的な取締りが期待されています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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