企業の格付けはどんなもの?
日本では金融庁が指定格付け機関を定めており、以下の5つの会社が指定されています。ムーディーズ
スタンダード&プアーズ
フィッチ
格付投資情報センター(R&I)
日本格付研究所(JCR)
いずれも民間の専門会社が行っており、財務諸表の分析や企業へのヒアリング等により格付けが決定されます。9ないし10(格付け会社によって異なります)にランク分けされており、企業が発行する債券の確実性や企業の信用度を表しています。
スタンダード&プアーズを例にとると、AAA(トリプルエー)が最も評価が高く、AA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C、D と下がっていきます。
格付けの目的は?
格付けは本来、企業が発行する債券(社債)の安全性を示したものであり、銀行や社債の投資家向けのサービスです。社債の元金や利子がデフォルト(債務不履行)することなく、期限までに償還できるか、つまり返済力の高さが評価されています。
そのため調査には企業の財務の健全性や支払い能力などに主眼が置かれています。分かりやすく言えば銀行からの借り入れが少なく、現金を多くもった企業が高く評価される仕組みとなっています。
格付けを株式投資にどう役立てるか?
AAAの企業と聞くと、財務状況も成長力も折り紙つきの優良企業――そう考えがちですが、格付けは上記のように「安全性」に主眼が置かれています。格付けを株式投資に役立てるにはこの点を見逃してはいけません。
企業が成長するためには銀行から資金を借り入れ、設備投資をしていくことも必要です。また、ビジネスモデルとして売掛金の多い企業もあります。こういった企業は成長力は高くても格付けでは低評価であったりします。
<社債と株式は評価の着目点が違う>
社債:企業の安全性
キャッシュフロー計算書、貸借対照表に着目
株式:企業の成長力
損益計算書に着目
格付けは株式投資における企業の評価とは異なります。しかし、投資するうえで企業の安全性を図る尺度として信頼性の高い情報と言えましょう。
格付けを投資判断の補助として活用しながら、株式投資で重要な「企業の成長力」を見極めていくことで成功への確度が高まるのではないでしょうか。