検察官が押収品のフロッピーディスクのデータを書き換え、その上司もそれを隠していたということで、検察官らが逮捕されたという報道がされています。一方で、報道では立件が難しいというコメントもあるようです。何が問題なのでしょうか?

無罪推定の原則

日本では、裁判で有罪と確定するまでは、無罪と推定されています。したがって、報道されているからといって、有罪と決まったわけではありませんから、その点をまずは念頭において、以下の本文を読んでみてください。

FDのデータを書き換える行為は何罪か?

「故意があったかどうか」が焦点に

「故意があったかどうか」が焦点に

刑法104条には、「他人の刑事事件に関する証拠」を「隠滅」したり、「偽造」したり、「変造」したりするような行為を処罰しています。今回問題行為を行なったと報道されている検察官は、この犯罪を犯したのではないかという疑いで捜査がなされています。

ここでは、まず、(1)押収して内容を書き換えたというフロッピーディスク(FD)が、その後実際に裁判に利用されることなく、弁護士側に返されたことについて、「刑事事件に関する証拠」にあたるのかが問題となります。この点については、裁判所の過去の判決では、「捜査機関又は裁判機関が国家の刑罰権を判断するに当たり関係があると認められる一切の資料」を言うとされており、比較的広く解釈されているので、今回の件も「刑事事件に関する証拠」にあたる可能性が十分あるといえます。

次に、(2)実際に禁止されている行為をいつ、どのように、行ったのかという点です。簡単にいうと「隠滅」は証拠を隠すようなこと、「偽造」は証拠を新しく作りだすようなこと、「変造」は証拠を加工するようなことですが、FDのデータを書き換えたということになれば、証拠を加工したことになるので「変造」に当たると考えられます。捜査機関側は、具体的に、いつ、どのようなことを行ったのか細かく調べているところだと思われます。

そして、一番重要なのは(3)故意にやったのかという点です。日本の刑法では、特別に規定がない限り、うっかりミスの過失でやってしまった場合には処罰されないことになっています。

証拠の変造は、隠れて行うのが通常で、具体的にどのように行われたのかはわからないことが多いですし、故意でやったのかどうかは本人の主観の問題ですから、本人の供述がどのようなものなのかが犯罪の証明にあたって重要になってきます。今回の件では、本人がうっかりミスつまり過失でやったと言うと、当時の本人の同僚に対する発言など何らかの証言や証拠により本人のうっかりミスしたという弁解を覆す必要が出てきます。したがって犯罪を証明するには一定のハードルがあるといえます。