いのちへのまなざし、いのちと向き合う勇気
「いのちってすごい」大葉ナナコさん(左)、河合蘭さん(右)
大葉:
兄弟姉妹に赤ちゃんが生まれて初めて赤ちゃんを抱っこするとか、自分の子どもを抱くまで赤ちゃんを抱いたことがないという人も多いですよね。映画『うまれる』を通して、「うまれる」ということを身近なテーマとして考えていただき、子どもを授かることや生まれること、生きることに対する想像力を豊かにして、いのちを感じるセンサーを鋭敏にしていただけたらうれしいです。
また、映画では、誕生死や障害を持って生まれたきた赤ちゃん、不妊症といったテーマも扱っています。「妊娠した、出産した、おめでとう!」だけじゃなくて、いのちを産むということは、いのちがけ。厳しさもある。親になる私たちは、いのちの厳しさも含めて、いのちと向き合う勇気が必要だと思っています。映画に登場する彼女たちを見ていると、最善を尽くすということが、乗り越えていくということなんだと考えさせられました。克服し終わる、乗り越え終わるということはなくて、「乗り越え続ける」というのがぴったりくる感じなんですよね。
河合:
いろんな子がいて、ある子は生まれる、ある子は逝ってしまった。いろんな子と出会いながら、そのうち自分も終わる。いろんないのちと絡み合いながら、終わるのが女の一生なんですよね。今はお産の回数が減った分、1回が深いですが、何人か産んだり、流産したり、体外受精で失敗したり……、というなかで、女の人はそういう感覚を自然に身につけてきた気がします。
大葉:
少子化といわれる日本で、年間107万人くらいお産がある一方で、実は年間約28万件もの人工妊娠中絶が行われています。全妊娠のおよそ5人に1人弱が産まない選択をしていることになりますね。この数字には驚かれる人も多いのではないでしょうか。産むことはできなかったいのちだけれど、赤ちゃんがお母さんのところに来てくれたのは事実。それも「うまれた」ということなんですよね。
何があっても受け入れていこうという覚悟
竹内:
これまで、僕は妊娠・出産やターミナルケアといういのちの現場で働いてきました。人が人である限り、人間の力ではどうしようもないことも起こります。自分の努力だけでどうすることもできないこともあります。そのときにどんな時間を過ごすかというプロセスが大事だと思っています。授かったいのちに寄り添うことで、喜びだけでなく、悲しみや怒り、いろんな感情が出てくると思うけれど、そこから次へつながっていけるし、生きていける。最後はどこで覚悟を決めるかというところがあるからね。覚悟という言い方は 語弊があるかもしれないけど、何があっても受け入れていこうという覚悟が、親になるということかもしれないね。
赤ちゃん誕生の瞬間から、家族が生まれる
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