良い住宅づくりには関係者全体の信頼関係が大切
性能面で高い定評がある「ネオマフォーム」やウレタンフォーム吹き付け、ペアガラスサッシなどによる外断熱工法が施されている
藤本さんによると、「まじめで信頼できる神村さんと出会えたこと、(躯体を提供した)JEF関係者などが協力してくれたから」とのことでした。そして施主さんの協力も見逃せません。「施工中に変更が生じないように、細やかな打ち合わせを行いました」。
建築家はハウスメーカーとは違い一般的にモデルハウスを持ちません。ですから、完成した建物をアピールする場合、完成した住宅しか利用できません。今回は特に様々な関係者によるトライアルの集大成という意味合いも含まれますから、入居前にモデルハウスとして活用するということに施主さんが了解されたこと、各関係者の協力を得られた点が、価格を抑えられた一因となったそうです。
中でも、建築家と工務店の信頼関係というのは非常に大切に感じられました。今回の見学では、藤本さんと神村さんが細かく打ち合わせをしている様子が目につきました。神村さんによると「こんなに現場に来る設計士の人は珍しい」とのことでした。
信頼関係が施工価格の抑制につながる
住宅づくりも分業化が進んだといいますか、例えば建築家の中にも仕事の効率化ばかりを優先して、現場をおろそかにする人も少なくないようです。ただ、そうすると良い住宅、施主の満足が得られる住宅となる可能性は低くなるといわざるを得ません。詳細な打ち合わせを行う建築家の藤本氏(右)と工務店の神村氏
実は、このような細かいことの積み重ねが、住宅づくりの実態であり、さらに住宅価格を構成する要素ともいえるわけです。だから各関係者間の信頼関係が重要なのです。そのことを今回の見学を通じて、私は改めて痛感させられました。
ところで、今回見学させてもらった住宅のコンセプトは「狭広(せまひろ)」。「狭く建てて広く棲む」ことだそうですが、建築中であったため、詳しく分からない部分もありました。11月に完成してお披露目会があるそうですので、改めて完成した建物を見た上でコンセプトを含め詳細なご紹介をしましょう。