不安定な時代に買われる金

ドル高・株高で金が値下がりした昨年から一変、今年は再び金が買われる展開でスタートしました。新興国リスクの拡大やウクライナ情勢の緊迫化がその背景。金融市場が不安定になり、リスクを回避しようとする資金が金市場に流入しています。

金は昔から「有事の金買い」と言われ、金融不安や戦争など、世の中が不安定な状態になると安全資産として買われてきました。2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに金価格は大きな上昇基調に突入。米国債の格下げ、欧州危機などを経て、2011年9月に国際価格1923ドルを記録しています。
金

金が「安全」といえる価格は・・・・


現在は2013年12月につけた直近の安値1181.40ドルから1300ドル台まで回復しているところ。安全資産としての金への需要が再び増加し始めた、と行方が注目されています。

金は本当に安全?

そもそも、金への投資自体が「安全」か?といえばそういうわけではありません。1980年から2000年にかけて金は20年間にわたり安くなりつづけ、高値から3分の1以下(国内価格では円高も影響して6分の1以下)にまでなってしまいました。預金に金利がつき、株や債券への投資にも妙味がある時代には、実物資産の金は必要とされなかったのです。

金には、近年のように「世界共通の通貨」として脚光をあびる時代もあれば、その存在が色あせて他の金属と同じように「モノ」としての価値にとどまる時代もあったということ。この先再び世界経済が回復軌道に乗り、ドルも堅調な動きが続くようになれば、金を持つことの重要性が薄れ、金価格は値下がりする可能性があるので注意が必要です。

金の本当に安全な値段とは

採掘

金には「値下がっても生産コストは大きく割れない」という安心感はある

そもそも金がなぜ安全かといえば、株や債券、通貨といったペーパー資産と違い、「モノ」なので価値がゼロにならないからです。

金を採掘、精製するには人件費を含め必ずコストがかかります。つまり金の価格が生産コストを大きく割れることは考えにくく、このラインが大きな下支えとなります。

事実、1999年から2000年にかけて金が最安値圏で低迷していたときも、生産コスト250ドルに近づくにつれ多くの鉱山会社が閉鎖して供給が細り、それ以上値段が崩れることはありませんでした。

現在の金の生産コストは?というと、ここ数年で大きく切り上がり、世界平均で1トロイオンスあたり約1200ドル(GFMS「Gold Survey 2013」)。つまり、昨年の値下がりは、ちょうどこのコストライン割れで止まったことになります。

コストラインの国内価格は、1トロイオンス=31.104グラム、現在の為替相場1ドル=102円で計算すると、3935円(=1200ドル÷31.104グラム×102円)。この水準以下であればバーゲン価格と考えることができるでしょう。長期保有の目的で投資するなら、できるだけそういう安い場面を狙って買い拾いたいものです。

「この水準まで下がっても大丈夫」と思える投資法で

金の需要には宝飾品や工業用途といった加工のための需要と、投資による需要の2種類があります。投資需要が盛りあがっているときの購入は要注意。投資人気に陰りが出れば大きな調整が入りやすいということです。

ただし、あくまで分散投資の目的で金をポートフォリオに組み入れる場合は、とくに値位置にこだわらなくても良いでしょう。金の値動きは他の資産との相関性が低いので、株や債券の運用に加えることで運用成果の安定化をはかれます。

いずれにしても金への投資は「この水準まで下がっても大丈夫」と思える方法で買うことです。投資する際は純金積立やETFを毎月少額ずつ購入するといった方法で時間分散を心がけ、資産全体の5~10%の範囲内に収めることをおすすめします。

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