犬を飼う前に考えておくべき5つのポイント
「犬と暮らしてみたい」、そう思っている人は多いことでしょう。そして、実際にその準備を始めようと思っている人も多いはず。多くの人が犬と暮らしたいと願うものです。しかし、誰しもが飼えるというわけでもありません。一つの命を預かり育てるということは、それなりに考えなければいけないこともあるからです。これから犬を飼いたいという人は、本当に自分に飼えるのか。まず、そこから考えてみましょう。
犬はオモチャじゃない、命あるもの
本当に自分に飼えるかどうかを考えて犬選びを。 |
犬は生きているもの。毎日ご飯も食べれば、トイレもします。ときには、病気になったり、ケガをしたり。寂しければ鳴きもしますし、甘えもします。相手と気が合わなければ、闘争態勢に入ることも。犬は感情をもった生き物です。そして、毎日の世話は欠かすことができません。飽きたから、面倒だからと、それをやめるわけにはいかないのです。
可愛い子犬も、やがては年をとり、老犬となります。場合によっては、介護が必要な生活になることもあるでしょう。人間より寿命がずっと短い分、まさに凝縮した“一生”を見る思いがします。犬と暮らすには、その命を預かり、育て責任をもって一生を見届けるという意識と覚悟が必要になります。
犬と暮らしたいと思ったとき、どうぞ、まずは「命がある生き物なのだ」ということを十分意識してください。命あるもの、そして、それなりの世話も必要になるということが認識できているのであれば、「本当に自分に飼うことができるのか?」ということを考えてみましょう。
ここから先は、「自分が犬を飼えるかどうか?」をチェックするポイントについてお話しします。
1.住宅環境は?
犬がのびのびと過ごせるスペースはありますか?
マンションなど集合住宅でペットが飼えるところは以前に比べて増えてはいますが、基本的に禁止のところが多いことでしょう。集合住宅にお住まいの場合は、まずペットの飼育が認められているかどうかをチェックすることはもちろん、OKであっても種類や大きさ、頭数などが定められていることが多いですから、自分の希望と合うかどうかをチェックしてみましょう。隣近所に犬が苦手な人がいるかどうかも事前にチェックできていると、将来的にトラブルの種を軽減できるかもしれません。
一戸建てでも借家の場合は、やはり持ち主に犬を飼ってもいいか?という許可を得る必要があります。場合によっては、サイズは小型犬のみとか、頭数は1頭までなど条件を提示されるかもしれませんが、それは話し合いで解決するしかないでしょう。
たとえ持ち家であれ、犬を飼うだけのスペースがあるか。これも大切です。小型犬であるならまだしも、大型犬ともなるとそれなりのスペースが必要です。室内にしろ、室外になるにしろ、それだけのスペースをとれるかもチェック。
2.飼育費用は?
小型犬は体が小さい分、食事・医療などに関して総体的に費用を抑えることができる。 |
- 食事代
- 健康管理・医療費
狂犬病予防注射を始めとした、伝染病を予防するための各種ワクチン、フィラリア予防、場合によっては去勢・避妊手術代、定期的な健康診断、病気になったときやケガをしたときの治療費・入院費・薬代など。
- 生活用品
リード&首輪、食器、ベッド、サークル、クレート、トイレシート、オモチャ、ブラシを始めとしたお手入れ用品など、生活に必要なものは1セット必要です。
その他、トレーニングを習いたいのであればトレーニングにかかる費用、また、犬種登録団体に入会したいのであれば、その登録料などがかかることもあります。これらの費用が自分に出せるか?と考えるのも大切なポイント。
参考までに、動物病院の診療料金の平均(『社団法人日本獣医師会公式サイト「小動物診療料金の実態調査結果」/平成11年』より)は、狂犬病予防注射料(注射済証明書料は除く)が2,873円、2種以上の混合ワクチンが8,185円、手術料(技術料)が24,176円、3日間の入院料(大型・中型犬)が9,501円という数字が出ています。また、あるアンケート(『ペット総研公式サイト「教えて!愛犬の飼育費」』より)では、犬種別に見ると年間の平均飼育費がゴールデン・レトリーバーで207,200円、チワワで106,353円、総合的には125,868円となっています。一度こうした費用を大雑把にでも計算をしてみるといいでしょう。
3.家族が全員賛成?
家族の中に犬を迎えることに対して反対している人がいれば、それは犬にとっても辛いことです。が、たとえ犬が苦手な人であっても犬好きに変えてしまうのが犬。あまり神経質に考えることもないとは思いますが、やはり、基本は家族全員が犬を迎えることに賛成していることが望ましいでしょう。反対している家族、そして犬自身、互いのストレスにならないためにも。家族にアレルギーのある人はいるかどうかも、チェックポイントの一つです。こうした病気が家族に出たことで、犬を手放すというケースもわりと多くありますので。
4.誰が世話をする? その時間がある?
家族の中で誰がメインに犬の世話をするのか、分担で世話をするのか、それも検討しておきましょう。主に世話をする人がいるなら、その人に合わせた犬種が飼いやすいということにもなります。犬の世話にかける時間を確保できるか。これも考えてみてください。その時間がつくれないなら、犬と暮らすのは難しいと言わざるをえません。
5.自分のライフスタイルと合う?
自分のライフスタイルに合わせた犬を迎える。これは大切なことです。アクティブな人がおっとりした犬と暮らすのは退屈かもしれませんし、運動が苦手な人、体力のない人がアクティブな犬と暮らすのは苦痛になることもあるでしょう。集合住宅で吠えやすい犬種と暮らせば、近隣に神経を使うことにもなり、逆に番犬の要素も欲しいお宅では吠えにくい犬であると物足りないということになってしまいます。要は自分がどういった目的で犬と暮らしたいのか。自分のライフスタイルと合わせて犬を選ぶ、ということです。流行だからとか、単に可愛いからなど、単純な理由で選ばないようにしたいものです。自分が想像していた犬とは違う、手に負えないなどの理由で飼育放棄されてしまう犬達も後を経たないのですから。
犬の一生を見すえた愛情を
犬の平均寿命も延び、近年のある調査(『東京農工大学大学院林谷秀樹助教授「犬と猫における長寿に関わる要因の疫学的解明」』より)では、11.9歳という数字が出ています。小型犬と大型犬では平均寿命も違ってきますが、中には20歳近くまで生きる子達もいます。それだけの長い間、変わらぬ愛情を注ぎ、世話をしてあげられる自信があるか今一度、自分自身に問いかけてみてください。犬と暮らすことで、人間は彼らからいろいろなものをもらうことができます。それを表現するには、「愛情」や「絆」「信頼」などいくつかの言葉があると思いますが、その他にも心臓発作の抑制に効果があったりと医学的な面でも認められているものがあります。しかし、犬達からもらうばかりではなく、私達も彼らに与えられるものがあります。愛情、そして日々の世話。お互いに、与え与えられてこそ、いいパートナーになれるのだと思います。みなさんも、どうぞいい子と出会ってくださいね。