静かに存在感を放つフレーム、というのが最初の印象でした。
シンプルな銀枠の中に水を注ぎ、さっと生けられた花。
特に凝ったことは何もしていないのに、人をハッとさせる強いインパクトがあります。
無機質な壁の中を通り抜ける清涼感。
きりりとモダンなデザインの中に、どこか温かく寛いだ風情を感じます。
FRAS(フラス)は、50年の歴史を持つ額縁制作会社から発信する
ブランドです。大阪に工房を持ち、職人さんたちの手仕事によって、
製作されたフレームがベース。しっかりとした技術力を基に、
時間と手間をかけて丁寧に作られており、フレーム自体に重みや深み、
堅実な手作業から感じられる清々しさを味わうことができます。
匠の技で仕上がる、銀の延べ棒
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手作りならではの質感。右は工房で作る様子
FRASでも特に力を入れ、人気の高い商品がこの銀箔のフレーム。
ちょっと手で触れるだけでも破れてしまう、大きさ110mm四方、
厚さわずか1μ(1/10000mm)の極薄銀箔を、一枚一枚丁寧に貼り付けているのだそう。
まるで銀の延べ棒のようなしっとりとつややかな仕上がりは、職人の手仕事ならではのもの。
基本的な工程は、木枠となる木材をサンドペーパーで磨き、
下地を塗っては乾燥させます。自然乾燥なので、丸一日かけてしっかりと乾かすのだそう。
最後に接着剤となる樹液を素早く伸ばし、
乾くちょっと手前で、ひと息に銀箔を貼って、一気に慎重に伸ばします。
このタイミングがなかなか難しいそうで、乾きすぎるとテカってしまうし、
季節や天候にも左右されるため、職人の経験とカンで全てが決まるとのこと。
エイジング仕上げといって、銀箔を貼った後に、金物ブラシでこすり、
わざと引っかいたような質感を出すこともあります。
一見シンプルな商品ですが、実は相当な手をかけて作られており、
1つできあがるのに最低1週間はかかってしまうのだとか。
銀箔は金沢で作られた純銀箔を使用しています。
FRASの商品はホテルなどの内装に使われることも多く、
最近では、三谷幸喜監督の映画「THE 有頂天ホテル」の舞台セットにも使われたんだとか。
クラシックとモダン、どちらにも溶け込めるデザインと技術を持っているのです。
次ページでは具体的な商品をご紹介