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倉本仁 かたちを極めたデザイン

プロダクトデザイナー、倉本仁さんにインタビュー。徳島の製材会社とコラボした美しい木の製品「MIKAMO」やオリジナルプロダクト「blur collection」をご紹介します。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド



かつて、ゆらゆら揺れるランプ「grass(グラス)」でご紹介したF.A.Tの倉本仁さんが、 JIN KURAMOTO STUDIOを設立。数々の魅力的なプロダクトを発表しています。 お正月にもふさわしい、木の素材を使った新商品「MIKAMO(ミカモ)」、そして凛とした空気の中にリラックス感の 宿る「blur collection」など、様々なプロダクトのご紹介と共に、 倉本さんのデザインに対する考えを伺ってきました。


2年の歳月をかけて完成した、木のかたち

気持ちが引き締まるような、美しい佇まいの木箱。
2008年11月にビッグサイトで行われた「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」にて 発表された「MIKAMO」シリーズ。 木目の美しい無垢の杉材を使い、職人の技がキラリと光る、端正な作りの木箱です。 徳島県にある、三加茂製材とのコラボレーションでできたプロダクト。 徳島県は16世紀より木工産業が興り、500年の伝統の中で、腕の良い職人 を多く携えた地域なんだそうです。 三加茂製材は元々建築製材を扱っている企業で、 木材に対しては相当シビアな目利き。 木に関する深く幅広い知識と、優れた加工技術があってこそ生まれた という木箱なのです。

倉本さん自身も、高校時代に屋根瓦を葺く職人の現場でアルバイトを経験しました。 大工さんや様々な職人さんたちのいる現場で、一緒にご飯を食べたり、焚き火にあたったり。 「厳しい現場でしたがすごく興味深くて。職人さんってカッコイイなあ、と思っていました。 特に大工さんは憧れで、自分の今の仕事につながるきっかけのひとつ だったと思います」。


箱いろいろ
蓋も付いて、サイズは6種類。入れ子にした姿にもうっとりします。


“箱”というシンプルなかたちですが、開発には2年の月日をかけて、 じっくりと納得のいくものづくりをしています。 倉本さんの最も強いこだわりは、スタリング。 「形にはいつもめちゃくちゃこだわってますね。 やはりそれができないとデザイナーじゃない。1つのプロダクトに最低30案は出します。 試作モデルもたくさん作るし、自分が思う“きれいな形”に辿り着くまでは、細部までとことん検証します。 やってやり切って、どんどん突き詰めていくと、どんどん目の前がクリアに なってきて、本当に作りたい形が見えてくるんです。 まさに『神はディティールに宿る』という気持ち。 そういえば、会社員時代、この言葉をパソコンのモニター枠にマジックで書いてましたね。 いつも肝に銘じている言葉です」。

木箱のサイズは一番小さなものが枡、一番大きなものはお茶箱として 最適な大きさ。また、それぞれ使いやすい用途を 考え、規格に則して計算されたサイズの箱を作っています。 なおかつ、重ねたときの一定したリズム、自然で心地良い、流れるような美しさにも配慮。 さらに、木の特性を活かした、丈夫で長持ちする加工技術がなされています。 箱の四隅に組み込まれた黒檀は、ビジュアル的な美しさと同時に、 杉の自然な反りを上手に防止し、強固につなぎとめる機能を併せ持っています。

優れた職人の技による、MIKAMOシリーズ

高度な木工技術によって作られた、まないたです。 MIKAMOシリーズには、木箱以外にも様々なプロダクトがあります。 写真はディッシュプレートにもなる“まないた”。 木目がとてもきれいなので、包丁を入れるのに少しためらいますが、 パーティーのテーブルで、パンやチーズを切るのに利用するなど、 ちょっとした華やぎの場に嬉しい商品です。 お寿司を並べたり、紙を敷いて和菓子を載せるのにも良さそう。 左端の板は少し紫がかった色ですが、これは着色しているのではなく、 素材そのものの天然の色。パープルハートという種類の木材で、 使い込むほどにまた表情が変わり、味わいが出てきます。 着色ではないので、もちろん色落ちも色移りもしません。 そしてこれらのまないたは実は3枚重ねになっており、 わずかな段差に逃げがあったり、真ん中の木がクッションの役目をしていたり、 熟練の腕と知識がなければ作れない、 木の特性を生かした反りにくく壊れにくい技術がなされています。 きれいに経年変化しつつ、50年は使えるというまないたなのです。


MIKAMO商品
無垢材を削りだして作ったお盆や、柔らかな表情のまないた、
徳島の伝統文化である、行楽やひな祭りに使われた「遊山箱」など。


徳島らしい技術を盛り込みながら、使いやすくて普通のもの、 一番スタンダードなものを作りたかったという倉本さん。 「腕がよく、人間としても尊敬できる素晴らしい職人さんと出会えたことも、 この仕事をしてよかったと思うことのひとつです。 お互い信頼し、真剣に向き合って助け合ったことで、 人の良い部分を多く見ることができました。 会社の存続にも関わるくらい、責任の重い仕事でしたが、 これこそやりたかった、と思える仕事でした」。

※「MIKAMO」は、中目黒の 燕子花(カキツバタ)や目黒通りのCLASKA(クラスカ)、他インテリアショップなどで販売しています。

さて、次ページでは2008年のデザインタイドで発表した作品の紹介、 そしてアトリエにも潜入します。
箱
カッティングボード
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