認知症/若年性認知症・その他の認知症

万引きなどの反社会行為も…「ピック病」という認知症(2ページ目)

40~50歳代の働き盛りに、性格や趣味嗜好が変化してしまい、万引きなどの反社会行為をしてしまう病気・「ピック病」をご存知でしょうか? ピック病は認知症を引き起こす病気の中では稀なものですが、症状に特徴があり、注目されています。

菅原 道仁

執筆者:菅原 道仁

医師 / 家庭の医学ガイド


ピック病の診断と検査

ピック病の診断の中心は問診です。前述したように、ピック病の初期症状は、性格変化や人格障害なので、ご家族の方は日常生活の様子を書いたメモを持参すると良いでしょう。

MRIやCT検査を行うと、前頭葉と側頭葉に目立つ萎縮が特徴的ですが、初期の段階でははっきりしないこともあります。脳血流やブドウ糖の代謝を測定出来るSPECT検査やPET検査を行うと、やはり前頭葉と側頭葉の血流と代謝が低下しています。また、ピック病の患者さんは、認知症とはいっても記憶力が保たれていることが多いので、長谷川式などの簡易認知症検査では満点をとることもしばしばあり、診断が難しいことも。

ピック病の治療

alt"ピック病の治療の中心は、症状に応じた内服治療と介護プランをしっかりとたてることです。介護者の負担にならない範囲で、今までと同じ生活を維持できるように生活環境を整える事が大事です。"

ピック病の治療の中心は、症状に応じた内服治療と介護プランをしっかりとたてることです。介護者の負担にならない範囲で、今までと同じ生活を維持できるように生活環境を整える事が大事です。

アルツハイマー病には有効とされる薬はありますが、残念ながらピック病を治せる薬はありません。そのため、ピック病の症状を抑える薬の投与が中心となります。たとえば、日中に落ち着きがないようであれば安定剤を使用したり、不眠があるようであれば睡眠導入剤を使用するなどです。

また、ピック病の患者さんに有効なのは、生活リズムや環境を整えてあげることです。介護者が目の届く範囲で、普通に生活をさせてあげる事が重要です。介護の負担が大きくなるようなのであれば、介護保険を申請し、デイサービスやデイケア、ヘルパーの導入などを利用しましょう。介護保険は、主治医に相談した上で、市区町村にある介護保険担当の窓口で申請することになります。その後は担当のケアマネージャーさんとよく相談して、本人の病状に応じたケアプランをたててもらいましょう。

「介護保険手続き・申請について」の詳しい記事は「介護保険の手続き・申請について」をご参照ください。
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