2010年夏、歌手の大黒摩季さんが子宮疾患の治療のために無期限で活動を休止するというニュースがありました。10年近く誰にも相談できず、一人で病気に向きあってきたという大黒さんは「私がこの現状をお知らせすることで同じ病気を持ち、一人で悩み苦しんでいる女性の皆さんの励みやちょっとした参考になって頂ければとも思い公表いたしました」と、病状を公開した真意も明かされています。一人の女性として、とても尊い姿勢ですよね。今回は大黒さんが闘っている病気について、解説します。

大黒摩季さんが闘っている4つの病気

女性のかかりやすい病気

女性がかかりやすい病気

今回大黒摩季さんが闘っていると報道されたのは、重度の「子宮腺筋症」、「左卵巣嚢腫(子宮内膜症性のチョコレート嚢腫)」、「子宮内膜症」、「子宮筋腫」の4つ。

これらの病気が重なることで、子宮、卵巣、卵管がひとかたまりに癒着し、子宮全体が大きく腫れ、骨盤の中で大きな塊となって他の臓器を圧迫している状態だということです。

実はこれらの病気のうちの3つ、子宮腺筋症、左卵巣嚢腫、子宮内膜症は仲間。すべて「子宮内膜症」という病気の一種と言うこともできます。というのも、そもそも「子宮内膜症」という病気の特徴にあるのです。

さまざまな箇所にできる「子宮内膜症」

子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側を覆っていて、女性ホルモンの作用をうけて増殖したり、剥がれ落ちたりする「子宮内膜」という部分が、本来あるべき子宮の内側以外のところにでき、月経のたびに増殖→剥離を繰り返してしまう病気。

わかりやすく言うと、「子宮内の表面にあるはずの膜が他のところにできてしまう症状」となります。原因は残念ながらまだはっきりとはわかっていません。

子宮内膜症は、体中の色々なところに発生し、発生した部位によって違う病名で呼ばれます。子宮の筋層内にもぐりこんで増殖する場合は「子宮腺筋症」。卵巣にできてしまった子宮内膜症が毎月の生理のたびに出血し、卵巣内に血がたまってしまい、古い血の塊がちょうど溶かしたチョコレートのように見えるのが「チョコレートのう腫」(のう腫とは中に液体成分がたまった袋状のもの、という意味です)。

さらに子宮内膜症は子宮の表面、卵管などの骨盤内にもでき、何度も出血を繰り返していると、そのうち骨盤内の組織が癒着して「凍結骨盤」というがちがちの骨盤になってしまうことすらあります。

余談ですが、子宮内膜症はたまに肺などにできることもあります。生理のたびに血痰が出るので病院で検査をしたところ、子宮内膜症と診断されたというケースもあるのです。

子宮内膜症に合併する子宮筋腫

そして「子宮筋腫」とは、子宮の内外にできる良性のコブ(腫瘍)です。良性なので命にはかかわりませんが、子宮内膜症との合併も多く、子宮内膜症の4~5割に子宮筋腫が合併しているともいわれます。


妊娠が「治療」になる? エストロゲン依存性の子宮の病気

大黒さんは「これらを軽減するために一番の方法が妊娠でもあるので、度々体外受精も行ってきましたが、やはりこのハードな仕事の中では流産を繰り返すばかりなので、こちらも治療と共に集中的、集約的に行わなければならない」というコメントを発表されていました。これを聞いて、「え? 妊娠が治療になる病気があるの?」とびっくりされた方も多いと思います。

実は子宮内膜症も子宮筋腫も、「エストロゲン」という女性ホルモン依存性の病気。月経がある数が多ければ多いほどリスクが高くなってしまいます。つまり、初潮年齢が早く、妊娠・出産の経験がないほど、リスクが高くなってしまうということです。昭和40年代に比べて女性の社会進出が進み、晩婚化・少子化した現在では、患者数もうなぎのぼりに増えています。

妊娠、授乳中は月経が自然と止まりますよね。つまり、これらの病気の症状が軽くなる=つまり、妊娠が治療となる病気、ともいえるのです。

子宮内膜症の自覚症状

子宮内膜症の場合は「年々ひどくなる生理痛」が一番の特徴です。月経量が多い、性交痛がある、不妊なども、症状に挙げられます。また子宮筋腫の場合も、月経痛や月経量が多いなどの症状が見られます。

上記のような自覚症状がある場合は、一度早めに婦人科を受診しましょう。また、症状がなく、年齢的に若い場合でも、女性であれば定期健診を受ける習慣をつけたいものですね。

女性が知っておいていただきたい病気については、「これだけは知っておきたい女性の病気」もご覧下さい。
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