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亀有、漫画で有名、家も物価も安い昭和の下町

30余年も続く人気漫画の舞台、亀有。気さくで人情味溢れる主人公を街のイメージと重ねる人も多いようですが、実際の亀有はどんな街なのでしょう。住む視点で歩いてみました。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

戦後の宅地化で人とともに
下町の雰囲気が流入、今の亀有に

北口にある交番
北口には制服姿の両さん像に、亀有公園、そして昔ながらの姿の交番が残されている。残念ながら、この交番が漫画の中のそれのモデルになったというわけではない
1976年の連載開始以来、国民的とも言える人気を誇る漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台として知られる亀有は、大手町から東京メトロ千代田線・常磐線各駅停車利用で約23分。足立区と接する場所にあり、駅としては常磐緩行線の駅なのですが、早朝深夜を除いてはほぼ全てが東京メトロ千代田線直通のため、都心直結の街といえます。ちなみに、そのうちの一部は小田急小田原線に乗り入れており、都心はおろか、神奈川方面にまでつながっています。また、駅のすぐ近くには環状七号線が走っています。

中川
亀有周辺の工場跡地の多くはマンションなど住宅に生まれ変わっている
漫画のおかげで下町のイメージの強い亀有ですが、この街がそんな雰囲気を持つようになったのは、意外に新しく、第二次世界大戦以降と言われます。江戸時代、明治時代には中川と荒川に囲まれた、寒村といっても良かった亀有が活気づいてきたのは大正時代に日立製作所をはじめ、いくつかの大工場が進出したことがきっかけでした。その後、関東大震災後には工業地帯として発展しますが、宅地化が進んだのは戦後になってから。戦災を受けなかったため、墨田区、台東区、荒川区などからの人口が流入、下町気質をも受け継いだのです。葛飾区には染織や彫刻、彫金、江戸切子など、各種の伝統工芸を受け継ぐ職人さんが多くいらっしゃいますが、それもこうした経緯からです。

物価の安い、会話のある商店街には
飲食店、喫茶店も多数

南口の様子
南口には再開発で生まれたリリオ、リリオパークなどがあり、ロータリーから放射線状に商店街が広がる。高架下にはショッピングセンター、アルカード亀有がある
続いて、今の亀有がどんな街なのか、まず、駅の周辺から見ていきましょう。亀有駅には南口、北口がありますが、漫画の中の商店街だけをイメージして南口に出ると、ちょっと違和感を覚えるかもしれません。かつて小さな店が密集していた南口駅前は1996年に20年以上の歳月をかけて再開発され、今は広いロータリー、駅前広場リリオパークをビルやマンションが囲む、いたって現代的な風景になっているからです。特に目につくのは駅を背に左手にある、葛飾区の文化施設、リリオホールを擁するリリオ。イトーヨーカードーと専門店が入っています。

アリオ亀有
アリオ亀有の登場と同時期に大規模マンションが続々登場、亀有の風景が変わった
また、駅から環七を渡ってすぐのところには2006年にシネコンもある大型商業施設アリオ亀有が誕生、休日などには周辺から多くの買い物客などが訪れるスポットとなっています。

惣菜屋店頭
自炊をする人、中食や外食ばかりの人にも住みやすく、胃袋、懐に優しいのが亀有だ
しかし、いかにも今風な風景は南口の駅周辺とアリオ亀有周辺の一部だけ。ロータリーから続く、70余年以上の歴史があるという亀有ゆうろーどに代表される商店街には、いまだに昭和の下町の、会話のある暖かい雰囲気が残っています。物価の安さも目につくところで、ことに野菜や惣菜類は仕事を忘れて、つい買ってしまいそうになるほどの安さです。

亀有ゆうろーど
亀有のメインストリート、亀有ゆうろーど。大手チェーン系の店は少なく、個人商店が頑張っている
飲食店も充実しています。焼肉屋さん、定食屋さんに、居酒屋、中華料理屋さんに近年はインド料理店も増えているようで、いろいろな味が楽しめます。また、街の昭和の雰囲気に貢献しているのは喫茶店です。多くの街ではチェーンのコーヒーショップが主流になりつつある今、亀有では昔ながらの、各種ランチを取り揃えた喫茶店が健在。地元の人が昼ご飯、おしゃべりや軽く一杯にと利用してるようです。

並木やせせらぎのある公園が点在、
意外に自然も豊富

住宅街の風景
一戸建て、アパート、遠くの通り沿いにはマンションと種類、規模の違う住宅が混在する
商店街は駅の両側、駅から歩いて数分圏にまで広がっています。そして、駅から3分ほども離れると、商店と住宅が混在するエリアに。環七に近い場所や北口の公園周辺には規模の大きなマンションもありますが、それ以外は一戸建て、店舗併用住宅、アパートに賃貸マンションが中心というところ。自然発生的に人が集まってできた街だけに、場所によっては密集している感もあります。

曳舟川親水公園
お花茶屋と亀戸の間にある曳舟川親水公園。子どもたちは川の中でざりがに釣り中だった
駅から少し離れたエリアを歩いてみると、目につくのが並木のある通りや、せせらぎのある公園です。亀有は中川、荒川に挟まれた地域ですから、かつての河川の記憶が公園という形で残されているのです。水遊びができる公園も多く、意外に自然がある街という印象です。

次のページではお手頃と言われる亀有の住宅事情を見ていきましょう。

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