「だまし」があるため注意も必要
ただし、テクニカル指標には「だまし」と呼ばれるものがあるため注意が必要です。上述した逆三尊型チャートやゴールデンクロスでも同様に「だまし」によってその後株価が下落してしまうケースがあります。「買いのサイン」なのにどうして「だまし」となるのでしょうか。
それは予め予想しやすいサインだからです。
逆三尊型であれば「もう直ぐ1,200円超える」可能性がある、ゴールデンクロスであれば「もうすぐクロスしそう」というのはあらかじめ皆が分かります。
これらは事前にある程度予想できるため、そうなることを見越して購入する人も多くいます。事前に購入した人達にとっては、ネックラインに到達した地点やゴールデンクロスした時には既に利益が出る状態です。利益確定売りが増加することによって需給関係が悪化し、その後株価が下落するということがあるのです。
チャートには限界が
ですから、チャートはあくまでも購入、売却時の参考にはなりますが過信は禁物です。チャートは過去の数字をグラフしたものですから、それに基づいて予想できることには限界があり、購入した企業の将来的な業績や相場を取り巻く環境を予想することはできないのです。株式投資で大きな値幅を取るためには企業の成長性や競争環境、世界の経済情勢などが必須であり、これが分からなければ株価の上昇余地を予想することが極めて困難となります。チャートの活用は、短期的な売買タイミングを計り鞘取りを行うには有効な手段ですが、大きな値幅を取ることは非常に困難と言わざるをえないのです。
株による財産形成を行うのであれば、企業の成長性や競争環境、世界の経済情勢などを分析した上で銘柄を選定し、その上でチャート分析による売買タイミングを掴むことが重要ではないでしょうか。