再契約時の注意点! |
先日、当社クライアントから定期借家契約の利用方法について質問を受けました。
質問内容は、
「自主管理を行なっていて、先日、インターネット上で公開されている雛形を使って、借主と直接、定期借家契約を結びました。しかし、契約してから気づいたのですが、契約終了時について、何も触れずに契約してしまったのです。契約終了時の手続きについてどのように取り決めをしておくべきでしょうか?」
というものです。確かに、定期借家契約には特有の手続きが必要になるため、事前にポイントを抑えておかないと、実際に使っていくのは難しいかもしれません。
そこで今回は、定期借家契約の実務について解説していきたいと思います。
■書式は公開されているものを使用できる!
定期借家契約とは、簡単に説明すると、
・契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了する契約。
・定期借家契約である旨を書面で説明しなければならない。
・契約期間が1年以上の場合は賃貸借が終了する旨の通知を期間満了の1年前から6か月前までの間に行わなければならない。
というものです。
定期借家契約の書式自体はインターネット上でダウンロードして使用することが可能です。定期借家契約には、
・定期借家契約書
・定期借家契約についての説明書
・定期借家契約終了通知書
が必要ですが、どれも公開されているものを使うことができます。
ただし、これだけでは完璧な書式とはいえません。なぜなら特約などについては特に記載がないからです。
特約の中に再契約料がかかる旨をうたう
普通借家契約では、更新時に更新料がかかる旨を記載します。一方、定期借家契約には更新の概念があるため、「更新料」という言葉を使うことができません。そこで、定期借家契約の場合には、「再契約事務手数料」(不動産会社に仲介を依頼している場合は、「再契約に伴う仲介手数料」)というような名目を使います。
1.再契約業務を仲介会社に委託する場合
仲介会社が再契約を行なう場合は、「再契約に伴う仲介手数料」という名目を使います。
「新たに契約することになるので、入居当初と同じく、仲介手数料が発生しますよ!」
と、入居者にも説明できるというわけです。
2.再契約業務を自分で行なう場合
では、自主管理をしていて、再契約業務を自力で行なう場合はどうでしょうか。宅建業の免許でも持っていない限りは、仲介手数料をとることはできませんし、また、そもそも自ら賃貸する場合には宅建業の免許は必要ありません。
この場合、特約には、
【再契約時は再契約料(礼金含む)として新賃料の1ヵ月分を支払うものする。】
というように記載する方法をとります。
定期役者契約の再契約は本来であれば、新しく契約を結ぶのですから、礼金等を請求してもよいのです。再契約料の内訳を、
【再契約料(契約書作成事務手数料0.5ヶ月、礼金0.5ヶ月)】
といった内容にすれば、より明確になるのではないでしょうか。
今月8月23日に京都地裁で、更新料は不当という入居者の訴えが全面的に認められるという判決がでました。まだ裁判は続き、最終的な判決はでていませんが、更新料という名目では課金することはこれから難しくなっていくことが想像されます。
いっそのこと、更新料的なものはなくし、入居者に少しでも長く住んでもらえるようにする、というのも一つの方法です。ですが、やはり何らかの課金をしたい、ということであれば、今回ご紹介したように、手数料として入居者に説明するのが納得が得られやすいことと思います。
契約期間満了時、定期借者契約は法定更新ではなく、契約が終了するという契約スタイルです。再契約を行うには再契約料を支払う。払わなければ、契約終了、と単純明快です。
定期借家契約のメリットを存分に理解し、アパート経営に活かしていただければと思います。