企画型住宅のイメージが悪くなった理由とは
数多く出版されている住宅雑誌。自由設計による「こだわり」の実現をテーマにしたものが多い |
また、とくに建築家の中にはハウスメーカーの住まいづくりについて「ああいうのは企画型だから」と、否定的な見方をする人も多いようです。このような世の中の動向もあって、ハウスメーカーサイドも「脱企画型」のような動きをみせてきました。
では、なぜ企画型住宅のイメージが悪くなったのでしょうか。それは過去に、ハウスメーカーが自由設計の住まいづくりを求める消費者にも、企画型を押しつけてしまったから。デザイン性や趣味・嗜好を重視するといった具合に、住まいニーズが多様化しているのはご存じの通りです。
企画型が支持されなくなった要因は、採算性や売りやすさといったハウスメーカーの都合を優先してしまった結果だともいえます。自由設計と企画型というテーマに限りませんが、このような視点で住まいづくりを考えてみることも非常に重要です。
過去の反省を生かし商品性が向上
ですが、最近の企画型住宅はバカにしたものではありません。このような過去の経緯を反省して、ハウスメーカー側も改善に努力しています。一時期、自由設計に大きく傾いたのですが、その成果が企画型商品に随分と反映されています。リビング階段。子どもが帰宅した際、必ずリビングに顔を見せるため会話する機会が増えやすい。このような子育てのノウハウも最近の企画型住宅には盛り込まれている |
ハウスメーカーの反省の話をもう一つご紹介すると、最近、よく自由設計の弊害がいわれるようになりました。これは長期優良住宅にもからむ話なのですが、自由設計で住まいづくりを行った結果がストック(中古)住宅の流通を阻害することになったということです。
自由設計で全てが解決するわけではない
自由設計をうたい文句にする住宅展示場のモデルハウス。しかし、一方ではその反省の声も業界関係者から聞かれるようになった |
住宅に関わる考え方は時代の変化に大きな影響を受けてきました。そして多種多様で複雑化しています。そのおかげで、企画型のイメージの悪さのように、様々な誤解や思いこみも生まれてきたような気がしています。
今回申し上げたいのは、自由設計が決して万能というわけではないということ。企画型の住まいづくりにもメリットがあるということを考慮しておくと、住まいづくりの難しさが少し解消されるのかもしれません。