外国株/米国株を買ってみよう

米国株の注目企業1:クラウドコンピューティング銘柄

今回は米国の注目企業としてクラウドコンピューティングの先駆者、セールスフォース・ドットコムをご紹介します。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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クラウドコンピューティングの先駆者、セールスフォース・ドットコム

企業向け顧客管理ソフトを提供する米国セールスフォース・ドットコム(CRM)は、クラウドコンピューティングという言葉ができる何年も前から、この新しい仕組みでサービスを開発してきました。ナスダックへ上場したのは2004年ですが、新しいコンセプトがITの世界では期待を集め、90年代後半のITバブル時を思わせるように、上場後の株価はPER数百倍、時に千倍を超える高値を常に維持してきた株です。リーマンショックで株価が暴落するもその後は延々と回復基調を強め、今年春に上場来高値を更新して以降、なおも業績好調を背景に新高値を更新し続けている、元気印のIT株です。

■セールスフォース・ドットコムの株価チャート
http://mailsrc.gladv.co.jp/ggr/crm_chart.png

結局同社株は昔のPER数百倍台という時代の株価の延長線上に戻っており、これだけ長い期間にわたり市場で高値が支持されているのは、半信半疑だったクラウドコンピューティングというものが徐々に実際の売上に表れてきているからだと思います。実際同社の業績は常に、高いPERを支えるべく非常に高い成長を見せ続けてきました。

■セールスフォース・ドットコムの業績成長
http://mailsrc.gladv.co.jp/ggr/crm_growth.png

直近からさかのぼって10回の四半期の決算では、100%以上利益成長した期が5度あり、次期(8-10月期)も103.8%の増益が予想されています。最終利益率や、それに伴いROEも高くないのですが、それはまだ成長途上の発展時期にあるためであり、高い成長率こそが同社株をここまで引きあげてきました。

10万社に迫る企業顧客を抱え、今期の売上高は16億ドルを超える大企業にまで急成長してきましたが、クラウドコンピューティングの浸透により、また積極的な買収を今なお繰り返していることでさらに規模を拡大していこうかというところです。同社のサービスは企業の顧客管理、営業支援を行う情報管理ソフトウェアーの提供です。これをインターネット経由でサービスを提供していることでクラウド型CRM(顧客管理)と呼ばれています。ちなみに顧客関係管理を表すCRM=カスタマー・リレーションシップ・マネージメントは同社株のナスダックでのティッカーになってもいます。

クラウドとは雲の中にサービスがあるというイメージで、実際には、雲は同社の管理するリモートセンターにあるサーバーであり、顧客はインターネットを通じて雲の中にアクセスし、そこでソフトウェアを動かしてサービスを利用するということになります。つまり従来のように前もって社内に専用のシステムを、しかも高額のIT設備投資を行って備え付ける必要もなく、また使用するコンピューターにソフトをインストールすることもありません。雲のこちら側(会社側)では何も準備する必要がなく、ただインターネットに繋がるパソコンがありさえすれば、契約後いつでも、どこからでもリモートセンターに繋いでサービスを受けることができるのです。

営業マンはiPhoneやブラックベリーなどのスマートフォン経由でも情報を検索でき、今売ろうとしている商品について過去の商談成功例や顧客のコンタクト履歴、インターネット上で集められた特定商品についての不具合や対処方法などの会話内容、ツイッターのようなもので社員のつぶやきも拾うことができ、上司はそれら全ての情報をグラフ化して進捗状況を見る事ができます。こうしたサービスにより、同社の売上の基盤は顧客からの月々の契約料となります。それは最も安いものでユーザー一人当たり月600円からとなっています。このため如何に会員数を減らさずに継続的に新規会員を積み上げていけるかが重要になるビジネスモデルです。従来型であれば顧客一社一社に合わせたソフトを時間をかけて開発し、システムを社内に納入する際に一度限りの高額が請求書が行く事になりますが、クラウド型では契約したその日に汎用型のシステムがすぐ使え、価格が安い点が特徴です。

その性質の為大企業よりも無数の中小企業がターゲットとなっています。当初は自社内に全てのシステム、データを置く事が安心とされていましたが、今では他社の管理するサーバーに全ての自社の秘密データを置くクラウドコンピューティングに抵抗がなくなってきました。そのため、約10兆円近いソフトウェアマーケットにおいて多くがクラウド型のシステムへ移管する顧客が増えてきており、同社の追い風となっています。同社は米国だけでなく日本をはじめ、主要な国でサービスを行っています。ソフトウェア界の巨人である、ドイツのSAP社、米オラクル社もこの領域で同社のライバルとなっています。
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