「育休」には2種類ある

子どもと家族

会社員の育児休業は子どもが1歳になるまで取れる

今や、男性タレントや特別区の区長さんも、妻の出産後に「育休」を取る時代になってきています。女性の社会進出+男性も育児を!という風潮で、「育休」という言葉も、男性、女性問わず、世間一般に広く浸透してきました。

この「育休」には実は2種類あり、その2つが微妙に混同して使われています。

まず、法律に基づいて実施される「育休」とは、「育児休業」のことです。これは、「介護・育児休業法」に基づいて定められたもので、原則として1歳までの子どもがいる会社員に適用されます。産前産後休暇が終わった翌日から1年間がその期間になります。また、1年を過ぎても子どもが保育所に入れない場合や、配偶者が何らかの事情で育児できない状態になった場合には、申請すれば1歳6ヶ月まで延長することができます。

以前は、配偶者が専業主婦(主夫)である場合には認められませんでしたが、現在は取得可能です。入籍していない事実婚の場合も認められます。
また、必ずしも正社員でなくとも、育児休業を取ることはできます。条件は、
 

  1. 同じ会社で1年以上働いている実績がある
  2. 子どもが1歳を過ぎるまでに予定の契約期間が終了せず、その後も継続して働く予定の場合


法律的には認められる条件を満たしている場合でも、会社によっては「前例がない」などのいろいろな理由を付けて、育児休業を取らせてくれないといった例もあります。しかし、育児休業は産前産後休暇と同様、働く人の権利として認められています。働く人が申請すれば、雇用者はそれを認めなければならないと、きちんと法律に明記されています。そこで、もし、申請したのに会社が取らせてくれなければ、それは明らかな法律違反。所轄の労働基準監督署や、個人で加入できる労働組合(ユニオン)などに訴えてみましょう。
 

「パパ・ママ育休プラス」とは?

2010年6月からの介護・育児休業法の改正で、大きく変わった点の1つに、父親の育児休業が以前よりも取得しやすくなった、ということがあげられるでしょう。共働きの場合には、夫婦それぞれが上限1年間で互いに育児休業することができるようになりました。これが「パパ・ママ育休プラス」という制度です。その場合、育児休業期間は1年2ヵ月まで延長されます。また、以前は育児休暇の取得は1度に限られていましたが、父親が8週間の産後休暇の間に一度育児休業しても(「パパ休暇」と呼ばれます)、育児休業期間中に再度、休業することができるようになりました。

とはいえ、実際には休業中には収入が減ることもあり、夫婦2人で揃って休業するのは難しい場合が多いでしょう。なにより、制度の問題以前に「会社の雰囲気」によっては男性が育児休業を取るのが難しい会社も多いはず。現実は制度の後に付いてくるものです。制度そのものは充実しつつあるので、実際に育児休業する男性が増えるようになるかは、今後の課題です。
 

会社員以外の育児休暇

自営業者やフリーランス、議員など、会社との雇用関係の無い人には、育児休業という制度そのものがありません。そこで、そういった人たちが育児を理由に仕事を休む場合には「育児休暇」という言葉を使っています。冒頭に書いた、男性タレントや区長さんなどの例も、この「育児休暇」にあたります。そもそも法律に基づいた制度ではありませんから、自分で決めて自分で取得しているもの。もちろん、その期間の金銭的な保障もありません。

また、父親の場合、会社員でもあえて育児休業を申し出ることはせず、年休を使うなど、有給の範囲で休暇を取って「育休」と言う人もいます。母親としては、「それって、ただ育児を「楽しむ」ための「休暇」では?!」と突っ込みたくなりますが、それでも気持ちがあるだけでもいいのかもしれません。

どうしても女性が取得することがほとんどになってしまう育児休業期間中には、共働きのときの力関係や、家事の分担のバランスが崩れる心配もあります。あくまでも、育児休業は子どものためのものであって、妻が家事をするための時間ではない!ということを夫にもわかってもらうべきでしょう。
 

育児休業中のお金は?

同じ会社に1年以上勤め、育児休業期間が終了した後も継続して働くことが見込まれる場合には、子どもが1歳になるまで、本来の給与の50%が「育児休業給付金」として支払われます。これは、雇用保険から支払われるもので、産休に入る1ヵ月前までに、会社に申請することが必要です。

また、育児休業期間中は、厚生年金の保険料の支払いが全額免除になります。育児休業を取っている本人はもちろん、保険料を分担している会社も支払わなくていいシステムになっています。この期間、保険料を納めていなくても、将来、厚生年金を受け取る段になったときには、納めたのと同じ扱いで年金を受け取れるというオトクな制度。ただし、産前産後休暇期間中は適応されず、育児休業期間中のみになります。事前に、会社に「育児休業保険料免除申請書」を提出しておきましょう。

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