薄毛・AGAの治療薬とは
近くの病院に相談できるか事前に電話で確認してみてください
なお、「プロペシア」は製品名(商品名)で、一般名である成分の名前は「フィナステリド」といいます。
2016年6月に薄毛治療薬としてザガーロ(GSK)も発売されました。プロペシアとの大きな違いは、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)の阻害が少し高くなる点です。(専門的には、DHTを作るために必要な酵素である5α還元酵素を阻害する薬なのですが、プロペシアは1型のみ、ザガーロは1型と2型の両方を阻害するという薬剤です。そのためDHTをより作られなくすると考えられます。ただ、ザガーロの方が勃起不全の副作用が少し多くなりますので、子供のことを考える場合には、医師に色々相談してください。)
なお、両剤ともに服用中は献血ができません。服用中止後プロペシアは1ヶ月、ザガーロは6ヶ月経たないと献血ができませんので、気を付けくださいね。
また、AGAの薬は、保険の適応がないため国で決められた薬価がなく、薬の販売価格は医療機関(または医師会など)が決めています。そのため販売価格が医療機関ごとに異なりますが、先発品のプロペシアより安価で医師から処方してもらえると思います。受診の前に金額なども電話で相談してみてください。
男性型脱毛症(AGA)とは?
男性型脱毛症とは、男性ホルモンによって髪の毛がだんだんやわらかく、細く短くなって、少なくなっていく疾患のことです。額の生え際から薄毛になっていくタイプ、頭頂部から薄毛になっていくタイプ、この2つの混合タイプなどがあるようです。思春期以降に始まり、進行していきます(女性は稀)。もう少し詳しく説明すると、ジヒドロテストステロン(DTH)という男性ホルモンが、髪の根元の毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に結合することで脱毛シグナルがでて、髪の成長期が終了してしまうのです。そのため、髪の毛が十分に育たなかったり、脱毛が見られて全体に薄毛になっていきます。
また、AGAは、30歳代で約10%、60歳代で50%、平均で30%の人にみられるというデータが出ています。
プロペシアとは
プロペシアは、AGAの原因となる男性ホルモン(DTH)の生成を抑制することで、脱毛や薄毛を防ぎます。2005年12月に万有製薬(株)から発売されました。少し専門的になりますが、DTHは、血中のテストステロンに5α‐還元酵素が働いて作られる物質です。プロペシアは、5α‐還元酵素を阻害します。そのためDTHが作られなくなり、AGAに効果がみられます。
豆知識になりますが、もともとこのプロペシアは、前立腺肥大症の治療薬として開発されたのですが、服用した患者から「毛が生えるようになった」という訴えが相次ぎ、改めて育毛剤としての研究開発がされたのです。
プロペシアの効果
プロペシアは飲み薬です。通常、男性成人に1日1錠(フィナステリド含有量0.2mg)を服用します。また、医師の判断で必要に応じて増量することがありますが、1日5錠が上限になっています。※この薬は、食事のタイミングに関係なく服用することができます。
適応については、男性の男性型脱毛症のみの適応ですので、他の脱毛症や女性に対する適応はありません。(女性に関しては、海外データで、閉経後女性の男性型脱毛症に1年間投与した研究があります。しかしプロペシアの有効性はみられなかったようです)。
効果について、髪の毛が増えるという効果もあるようですが、どちらかというと現状を維持することが期待できます。全体的な本数が多くなるというよりも、抜け毛が少なくなったり、髪が細く短くなるのを防ぐために髪の毛が太く長くなることで、結果的に薄毛が目立たなくなるようです。
また、プロペシアを飲んで効果が確認できるまでの目安は6ヶ月です。6ヶ月以上服用しても効果が見られない場合は、医師の判断で服用が中止になることがあります。それ以上続けるかどうかは、医師に相談してください。
また、錠剤を増やしても効果が強くなるというわけではないようです。例えば、1錠で効く人が2錠飲んだからといって、薄毛を防ぐ効果が倍になるというわけではありません。ただ、人によっては薬の感度が低い場合もありますので薬の量が増えることがあります。
このようなことも含めて医師に相談して医師の判断を仰いでください。
次に、プロペシアの入手方法と注意点をご紹介します。
プロペシアの入手方法・内科や皮膚科の受診を
まず、医療機関に相談してみてください。主に内科や皮膚科などの科の医師が診察しているようです。事前に医療機関に電話で問い合わせてみると確実でしょう。万有製薬のホームページ(AGAを相談できる病院検索)でも検索できます。また、インターネットでも入手できるようですが、効果や安全性の面から医療機関で医師に相談して入手することをお勧めします。
プロペシアに関する薄毛の診察には、医療保険が使えない自由診療になります。この点はピルと同じです。「ピルのメリット・デメリット」記事もあわせてご覧ください。薬代だけではなく、診察料や検査などその診察でかかったものは自費になります(通常の保険診療は、国で診療の価格が決められていて、その価格に対して2割や3割を窓口で支払っています)。
自由診療の場合、医療機関ごとに価格が異なります。事前に電話などで問い合わせてみると確実です。
プロペシアの注意点
まず、男性のみの適応ですので、女性の適応はありません(特に妊婦・妊娠の可能性がある人、授乳中の人は絶対服用しないでください)。また、20歳未満での服用は避けてください。安全性や有効性についてまだ確立されたデータがないようです。また、この薬を服用していると一部の前立腺の検査値が低く出ることがあります。前立腺などの検査をする場合は、この薬を服用していることを必ず医療機関に伝えてください。
錠剤の取り扱いについてですが、この錠剤を割ったり潰したりしないようにしてください。この薬はきちんとコーティングされて割れないようになっています。しかし、万一割れてしまった場合は、妊婦・妊娠の可能性がある人、授乳中の人が触らないようにしてください。
副作用に関しては、過敏症としてかゆみや蕁麻疹などが出ることがあります。また、1%未満の副作用ですが、勃起付機能不全や精液量減少などもみられるようです。服用して何かおかしいなと感じることがありましたら、すぐに医師に相談しましょう。
今回は、プロペシアについてご紹介しました。処方に関しては、自己判断せずに医師に相談・診察の上、服用してください。また、飲み方、量などについても人によって異なりますので、医師の判断を仰いでください。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
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【参考リンク先】
プロペシアについて>万有製薬(株)
AGA-news(AGAについて)>万有製薬(株)
プロペシア添付文書>万有製薬(株)