感染症/口唇ヘルペス

口唇ヘルペスの薬について(3ページ目)

疲れがたまったり風邪など免疫力が低下すると、口の周りにヘルペスが何度もできてしまうと悩んでいる方はいらっしゃいませんか。口唇ヘルペスの薬は、2007年より薬局で購入できるようになりました。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

アシクロビルの作用

ヘルペシア軟膏(大正製薬)と、アクチビア軟膏(グラクソ・スミスクライン)は「アシクロビル」という成分を5%配合しているぬり薬です。

OTC医薬品(一般用医薬品)として発売される前に、医療用で長期間使われていますが、医療用では、ゾビラックス軟膏5%(グラクソ・スミスクライン、先発品)など後発品も多数売られています。(医療用では、「ビダラビン」を成分とした「アラセナ-A軟膏、クリーム」(持田製薬、先発品)もあります。)

この成分は、簡単に言うとヘルペスウイルスの増殖を抑える薬です。少し専門的になりますが、詳細な作用は次のようになります。

まず、内服や塗布によりウイルスに感染した細胞の中に入ったアシクロビルは、ヘルペスウイルスが作り出す酵素(チミジンキナーゼ)でリン酸化されて、アシクロビル1リン酸(アシクロ-GMP)になります。
さらに、ヒトのキナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(アシクロGTP)となります。

このアシクロビル三リン酸が、次の2つの作用でウイルスの増殖を抑えます。
1.ウイルスが増殖するときに、自分と同じDNAを作って増えていきます。これをDNA複製(合成)といい、増殖にはDNAポリメラーゼという酵素が必要となります。アシクロビル三リン酸は、この酵素の働きを抑えて増殖を抑制します。

2.ウイルスがDNAを合成する時にGMP (グアニル酸:Guanosine monophosphate)が必要となります。しかし、ウイルスがそれに似た構造のアシクロGMPを取り込んでしまい、合成を阻害します(アシクロGMPの構造の特徴により、それ以上のDNA延長ができなくなる)。

その他の注意

前述しましたように、この薬は、一度でも医師に口唇ヘルペスと診断された人が適応となります。そのため、最初は必ず医師の診断を受けてください。
何度も再発している人は、患部のピリピリ感で再発を予感できると思います。アシクロビルの作用は、ウイルスの増殖抑制です。ウイルスが増殖して水泡を作る前に使うことがポイントです。

DNA合成を阻害するというと、なんだか怖く感じるかもしれませんが、このアシクロビルは、ヘルペスウイルスが作り出す酵素によって活性化します。そのため、ウイルスがない細胞では活性化せず、DNAへの影響はありません。

その他、使用に際して不安な点などありましたら、購入時に薬剤師に必ず相談してください。もちろん、薬に添付してある使用上の注意を守ることも重要です。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局などでの会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。

【参考】
・メルクマニュアル
ヘルペシア軟膏>大正製薬
アクチビア軟膏>グラクソ・スミスクライン
最近増えている性感染症 -性器ヘルペス-(AllAbout記事)
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