自閉症の原因は? 後天的な影響ではなく先天的要素が強い
社会生活上のハンディキャップを目立たないようにすることが、自閉症の治療目標です
自閉症の治療法や薬物療法、上手な付き合い方について解説します。
自閉症の治療法と上手な付き合い方
現時点では自閉症の詳細なメカニズムがわかっていないため、外科手術のように根本的原因を取り除いて完治することはできません。そのため自閉症の対処法としては、「他者とのコミュニケーションが取れない」「他者から見て奇異に感じられる行動がある」「周りの暗黙のルールがわからない」などの、社会生活を送る上でのハンディキャップを訓練を通じて目立たなくさせることが目標になります。訓練といっても特殊なことをするわけではなく、親を始めとする周りの大人が根気よく反復行動をやめるよう促したりルールを繰り返し教えるなど、日々の積み重ねによるトレーニングが中心です。自閉症の回復を専門とする精神科医や、支えあうための自閉症の子どもを持つ親のグループなどもあるので、適宜アドバイスを受けながら、トレーニングを進めるようにしましょう。
IQ70以上・高機能自閉症の治療法と上手な付き合い方
自閉症でもIQ70以上の「高機能自閉症」の場合は、知的レベルが維持されているので、5~7歳までに言語で他者とコミュニケーションが取れるようになっていれば社会生活上でのハンディキャップもかなり軽減することが可能です。実際、幼児期に自閉症と診断を受けても、成長するにつれて自閉症の診断基準を満たさなくなるほど症状が改善される場合もあります。それでも「環境や行動パターンが変化することへの拒否反応」「行動の常同性」など、なかなか改善しにくい症状があり、社会生活上、不利益になりやすいのも事実。根気よく回りがサポートを続ける必要があります。
薬物療法が有効な自閉症の症状
自閉症の症状で見られることがある、「多動性」「儀式的行為」「自傷行為」などを緩和させるために、薬物療法が有効なことがあります。使用される薬物としては、「多動性」には中枢神経刺激薬に属するリタリン、儀式的行為を減少させるためには代表的な抗うつ薬でもあるSSRIというタイプの薬物、そして「自傷行為」に対しては、抗精神病薬がしばしば効果があります。しかし自閉症児は小児であることに加え、薬の作用様式が一般の場合とは異なる可能性もあるので、薬の使用には特に慎重になる必要があり、薬の投与期間も症状の緩和具合などによって、数ヶ月~数年間になることが考えられます。
また、薬物療法は自閉症そのものを治すわけではない補助的手段ですので、必ずしも薬物療法が必要とは限らないというのが現状です。
家族のサポートが第一! まずは自閉症に対する理解を
自閉症の子供が成長し社会生活に適応していくためには、家族ならびに周囲からの理解、サポートが必須。自閉症の子供とコミュニケーションを取るためには、自閉症とはどのような病気であるか、なぜそのような要求や行動があるのかを理解しなくてはなりません。同時に子供にしてはいけないことをはっきりさせるなど、育てる側の負担は通常の子育てよりも大きなものになります。子供と一緒に自閉症を乗り越えていくために、家族の絆の大切さはどんなに強調しても足りないくらいなのです。