子供の病気/子供の健康管理・小児科受診のポイント

子どもの病院の探し方

子どもの病気はすべて小児科と思っていませんか? 大人でも外科・内科が分かれているように、小児科に行っても別の科を紹介されることがあります。症状別に何科に行くべきか分かりやすく解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

骨折なら整形外科、傷なら外科にかかるように、症状別の対応が必要です

骨折なら整形外科、傷なら外科にかかるように、症状別の対応が必要です

子どもの病気のほとんどは、小児科で診ることができます。しかし、子供の病気でも、小児科だけでは治療が難しい病気があります。大人でも骨折なら内科ではなく整形外科で治療するのと同じです。

迷った時はまずは小児科ですが、他の科に回されることもあります。症状別に何科がよいのかをまとめました。


頭を打った場合 

■嘔吐が続く、頭痛を訴える、痙攣(けいれん)がある場合
頭の中で出血している場合があります。至急、脳神経外科で診てもらいましょう。

■意識もあって、元気で、24時間たっても問題ない場合
子どもに異変がない場合は小児科でもいいと思いますが、まれに、ゆっくり出血する場合があります。頭を打ってしばらくしてからでも、歩けなくなったり、頭痛がひどくなった場合は、至急、脳神経外科で診てもらいましょう。
 

耳を痛がる、鼻血が止まらない、鼻や耳に異物が入った場合 

これらの場合は、耳鼻咽喉科の方がいいでしょう。特に、虫が耳に入って痛がっている場合は耳鼻咽喉科で取り除きます。鼻血が止まらない場合は、鼻の粘膜を見たり、鼻の奥に詰め物を入れたりします。鼻に入った異物も、専門医の方がより上手に取ることができます。

耳が痛い場合、中耳炎であることが多いです。私は小児科医ですが、お薬で耳の痛みを和らげたり、抗生物質投与で炎症を抑える中耳炎治療ができます。しかし、小児科でできる治療でも耳の痛みが取れない場合は、鼓膜を切開することがありますので、耳を専門的に診る耳鼻咽喉科がいいでしょう。

足の付け根がふくらんでいる場合

足の付け根、股関節のあたりが、ふくらんでいる場合、「陰のう水腫」や「鼠径ヘルニア」の可能性があります。健診やおむつを換える時に気づくことが多いです。

「陰のう水腫」は陰のうに水がたまっているだけですが、「鼠径ヘルニア」は腸がお腹から出てふくらんでいる袋の中に入っている状態です。放置しておくと、腸が袋の入口に締め付けられて腐ってしまいます。異常を感じた場合は、外科小児外科を受診した方がよいです。陰のう水腫の場合は、泌尿器科です。

手が動かない、手足を打って動かない、歩けない場合

この場合は、整形外科 を受診しましょう。特に多いのが、手を引っ張って手が動かなくなる「肘内障(ちゅうないしょう)」です。肘内障は、肘の関節がずれてしまうために起こります。親子で手をつないでいて急に子どもの手を引っ張ってしまったときや、寝返りのはずみでも起きることがあります。一部の小児科医なら治せますが、骨折が隠れていることもあります。以前、転んで手が動かないという子どもに念のためレントゲン検査をし骨折を発見したことがありました。肘内障の治療をしても治らない場合は、整形外科を受診してください。

肘内障以外でも、手足を打った後で腫れたり痛がったりしている場合は骨折の可能性があります。骨折の場合は、ギプスで固定し、整形外科で治療することになります。

また、急に歩けなくなった場合、関節炎の場合があります。専門的な検査を行い、関節の炎症の有無を確認しますが、処置は整形外科で行うことになりますので、整形外科を受診した方がいいです。

火傷(やけど)をした、水イボが広がった、イボが取れない場合 

火傷(やけど)の処置は、皮膚科をオススメします。程度によりますが、ほぼ毎日皮膚科に通って処置をして、跡が残らないように注意してください。火傷の場合、水ぶくれができて破れると皮膚の細菌が感染し、炎症を起こしてします。皮膚の感染を防ぐことも大切です。

水イボは、つぶさなくても数カ月で自然に治っていきますが、皮膚科でピンセットでつまんで潰すと回復が早いです。

イボは皮膚科で、液体窒素をつけた綿棒などでイボを冷却します。この処置で数日から数週間で自然に取れてきます。液体窒素の処置は数回続ける必要もあります。

転んで怪我をした場合 

もし、傷が開いて縫う場合は、外科小児外科の方がいいでしょう。ただ、顔の怪我については、形成外科がお勧めです。形成外科をしている医療機関が少ないのですが、できるだけ傷が残らないように専門的な治療が受けられます。

傷が開いていると感染を起こして、傷が治りにくく、跡が残りやすくなるので、まずはなるべく早く、傷を縫うか強力なテープで傷を閉じることが大切です。

万が一傷が残っても、形成外科で後々目立たなくすることも可能です。緊急時には、まず外科で縫ってもらいましょう。

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