膠原病とは(自己免疫疾患とは)
中年以降の女性に特に多くみられる膠原病。免疫による攻撃をどの臓器が受けるかによって、様々な症状が出ます
膠原病の原因・仕組み……免疫が自分を攻撃して起こる様々な病気
膠原病が何かを理解するためには、まず免疫について知っておく必要があります。詳しくは、「アレルギーの基礎知識」を参考にしてください。「免疫」とは、簡単に言うと異物や病原体が体に侵入してきたとき、体を防御しようとするシステムです。免疫によって病気が治ったり、予防できたりします。
ところが、この免疫が暴走することで、かえって病気になってしまうのが、「膠原病」です。「自己免疫疾患」という名前の通り、自分の免疫が自分を攻撃し、炎症を起こし、臓器や組織を壊してしまうわけです。攻撃される臓器によって病気が異なります。
例えば、主に関節が攻撃されて関節炎を起こしている場合は「慢性関節リウマチ」ですし、皮膚と筋肉が攻撃され、皮膚に湿疹が出たり、筋肉に力が入らない状態になった場合は「皮膚筋炎」という病名になります。
膠原病の種類・主な病気一覧
一言で膠原病と言っても、その種類や病名は様々です。リウマチなどのよく聞く疾患も、膠原病の一つです。主な膠原病の種類と、主に攻撃される部位についてまとめました。- 全身性エリテマトーデス(SLE)
全身が攻撃される - 慢性関節リウマチ(RA)・若年性免疫性リウマチ
主に関節、子供では全身が攻撃される - 混合性結合組織病(MCTD)
主に全身が攻撃される - 全身性硬化症(SSc)・全身性強皮症(PS)・進行性全身性硬化症(PSS)
主に皮膚などが攻撃される - 皮膚筋炎(DM)・多発性筋炎(PM)
主に皮膚や筋肉が攻撃される - 結節性多発性動脈炎(PN)
主に血管が攻撃される - シェーグレン症候群(SjS)
主に唾液腺、涙腺などが攻撃される - Wegener肉芽腫症(Wegener's granulomatosis; WG)
副鼻腔、腎臓、肺が攻撃される - アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angitis; AGA)(Churg-Strauss症候群)
主に血管が攻撃される - 過敏性血管炎
主に血管が攻撃される - アレルギー性紫斑病
主に血管が攻撃される - 川崎病
主に血管が攻撃される - 線維筋痛症
原因不明の筋肉の病気 - クローン病
主に消化管が攻撃される - 潰瘍性大腸炎
主に消化管が攻撃される - ベーチェット病
主に粘膜が攻撃される - 原発性胆汁性肝硬変
主に肝臓や胆管が攻撃される
膠原病の初期症状・自覚症状・受診すべき診療科
膠原病は慢性疾患ですので、症状が長いことが特徴です。また、良くなったり悪くなったりする症状があれば、要注意です。発熱、咳、蛋白尿、関節痛、湿疹、下痢、腹痛、体がだるいなどの自覚症状が長く続く場合、膠原病の可能性があります。風邪や胃腸炎の症状に似ていますが、1週間も、2週間、1ヶ月も改善しなければ、風邪ではない可能性が高くなりますので、一度医療機関を受診するようにしましょう。
■子供の場合
まずは小児科に受診しましょう。詳しく問診で、膠原病が疑われた場合、血液検査や尿検査を行います。さらに関節痛がある場合は、整形外科でも診てもらうことが大切です。日本アレルギー学会認定認定アレルギー専門医になる試験に、膠原病の知識が必ず問われますので、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を標榜されているといいかもしれません。
■大人の場合
まずは総合内科があれば、総合内科に受診しましょう。しかし、膠原病の可能性が高い場合は、膠原病内科、膠原病・リウマチ内科の方がいいでしょう。リウマチなら整形外科を受診してもいいでしょう。ただ、子供の場合と同じで、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医や日本リウマチ学会認定リウマチ専門医を標榜されているといいかもしれません。
学会認定専門医・指導医のリスト 医療機関の科目に、膠原病、リウマチの文字があるかどうかを調べて、受診するのがよいでしょう。