膠原病・リウマチ/その他の膠原病・リウマチの病気

橋本病・慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症の原因・症状・治療法

【医師が解説】橋本病とは、慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症です。甲状腺ホルモンの不足により、むくみや声枯れ、無気力などの様々な症状が現れます。20代から見られ、30~40歳代の女性に多いです。橋本病の原因、症状、検査方法、治療法について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

橋本病とは……甲状腺ホルモンが不足する甲状腺ホルモン低下症

橋本病とは、慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症のことです。甲状腺炎は、自分を攻撃するリンパ球や抗体によって起こる「自己免疫疾患」。1912年に橋本策(はかる)先生が発見したので、橋本病と言われています。

男性の20~30倍以上女性に多く、年齢は20歳代から見られ、30~40歳代に多いです。学童期には少ないのですが、私は14歳の症例を診たことがあります。髄膜炎で入院した子でしたが、最近元気がないということで血液検査をすると、甲状腺ホルモン低下が確認できました。

橋本病は、免疫異常の原因は不明ですが、橋本病はある程度遺伝性も報告されており、橋本病で無症状の人が、強いストレスや妊娠・出産、ヨード過剰摂取(海藻類、薬剤、造影剤など)等をきっかけとして甲状腺機能低下症となり、症状を発症していると言われています。

<目次>

橋本病の症状むくみ・声枯れ・無気力など

橋本病(慢性甲状腺炎)の原因・症状・検査・治療

頸の中央にあるのが甲状腺。蝶のような形をしています

甲状腺そのものが炎症になっていることによる症状と、甲状腺機能低下による症状があります。

甲状腺そのものの症状は、甲状腺の腫れです。丁度頸の正面が腫れていて、硬く、表面がゴツゴツした感じになっています。

甲状腺が腫れて甲状腺炎を起こしていても、甲状腺ホルモンの値が正常である人がいます。しかし、約30%程度の人は、甲状腺ホルモンの値が低くなっています。

甲状腺ホルモンの低下症状として、以下のようなものが挙げられます。
 
  • 体、特に手や顔がむくむ症状(粘液水腫)。むくみは指で押してへこむが元に戻るのが特徴
  • ノドが腫れた場合、声が枯れる
  • 皮膚が乾燥し、カサカサする
  • 体の代謝が減って熱の産生が減るので、寒さに弱く、夏は暑さを感じず、汗もあまり出なくなる
  • 無気力になって、よく寝たり、動きがにぶくなったり、話し方もゆっくりになる
  • 食欲が減るが、むくみのため、体重は増える
  • 腸の動きが悪くなり、お腹が張ったり、便秘になる
  • 脈がゆっくりになる(徐脈)。時に心臓と心臓の周りの袋の間に水がたまり、心臓の動きが悪くなる
  • 月経量が増えたり、期間が長くなったり、流産しやすくなる
    など

橋本病が急に発症し、甲状腺ホルモンが急に血液に出る、橋本病の急性増悪が起きた場合、甲状腺ホルモンの過剰な状態での症状、脈が速くなる動悸、頻脈、発熱、発汗、甲状腺が急に腫れるなどの症状が起きることがあります。
 

橋本病の検査法血液検査・超音波検査

検査

採血で甲状腺ホルモンを測定します

甲状腺ホルモンを測定することが大切。血液検査で、甲状腺ホルモン・T3・T4・蛋白に結合していない自由(Free)であるfT3・fT4を測定します。

橋本病の場合、甲状腺ホルモンのすべてが低下しています。一方、脳の下垂体から出て、甲状腺ホルモンを出すように命令する甲状腺刺激ホルモンは増加が見られます。

甲状腺に含まれる成分に対して自己抗体が作られ、抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体が橋本病では陽性になります。

また、超音波検査で甲状腺の大きさを測定しますが、橋本病が長い場合、甲状腺が小さくなっているのがわかります。甲状腺に針を刺して、組織の一部を採取し、顕微鏡で炎症を確認することもありますが、痛みを伴う検査のため、実際に行うのはがんとの鑑別の時くらいです。
 

橋本病で経過観察するケースと補充療法による治療法

甲状腺が腫れていても、甲状腺ホルモンの値が正常の場合は、年に1~2回程度、甲状腺の大きさ、甲状腺ホルモンをチェックして様子を見ます。甲状腺ホルモンが低下している場合は、補充療法を行います。

甲状腺の炎症を抑える薬は現時点ではありませんので、甲状腺ホルモンの補充療法が治療方法になります。甲状腺の炎症を持続していますので、ほぼ一生甲状腺ホルモンの補充療法が必要になります。

治療薬は、合成甲状腺ホルモンであるサイロキシン (T4)レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)を使います。この製剤は、血中で半分になる半減期が長いので、1日1 回の内服で十分。甲状腺刺激ホルモンが正常になるように甲状腺ホルモンを補充しますが、血液検査で確認しながら薬の量を決めていきます。

根気よく、薬を飲んでいく必要がありますが、サイロキシン (T4)、レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)はその日の体調によって薬の量を変える必要がないので、安心して使える薬です。

甲状腺ホルモン不足状態が長期間続くと、心臓の働きが悪くなったり、肝臓の機能が低下したり、体の新陳代謝の低下したりして、体全体への影響が出てきます。甲状腺ホルモンが不足すると、血液中のコレステロールが増えてしまい、動脈硬化を起こす可能性があります。

甲状腺ホルモンは体にとって必要なホルモンなので、不足している場合はしっかりと補充しましょう。

経過中に甲状腺が急に大きくなった場合は、甲状腺機能低下の悪化やまれにリンパ腫の可能性もありますので、その場合は早めに治療している医療機関を受診した方が良いでしょう。

妊娠した時には、甲状腺自己抗体が陽性の場合で軽い潜在性甲状腺機能低下症であっても、流早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高く、治療によりそのリスクを改善できるとされていますので、甲状腺ホルモンの補充や増量を検討する必要がありますので、医療機関に相談しましょう。

治療して甲状腺ホルモン補充療法が良好なコントロールされていれば、特に日常生活に制限はありませんが、ヨード過剰摂取はよくありませんので、昆布やひじきなどのヨウ素を大量に含むような海藻類などを過剰に摂取することは避けましょう。

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