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河合勝幸 著  監修/朝倉俊成 講談社 1,400円(税別) ISBN 4-06-213191-9

海外旅行は日常のルーチンワークから開放される時間ですが、同時にからだの活動量が飛躍的に増える毎日でもあります。日本と同じインスリン単位では多すぎることがありますよ。

海外滞在時のインスリン量は?

私の場合は基礎インスリンの"ランタス"を日本より10%減らすと、早朝空腹時血糖値が目標ゾーンに収まります。そして、一日の総インスリン量も10%位は減っています。これは単調な田舎生活(日本)と、何かと忙しい都会生活(バルセロナ)の相違、そして食事の質とパターンが大きく変ったことが原因かと思います。

これも長期滞在のせいかも知れませんから、1~2週間の旅行なら別の対応のしかたがあろうかと思います。その心構えとして、血糖測定をいつもより多くするのがいいのですが、あまりその血糖値に過敏に反応しないことも大切なことです。私は70mg/dl以下の場合は直ちにブドウ糖を取りますが、150~200mg/dl位の軽い高血糖のときは一時的なことが多いので様子をみることにしています。過剰反応はローラーコースターのような乱高下の原因になりますから。海外旅行は糖尿病治療を改めて学ぶいい機会ですので、担当医によく打ち合わせておくのがいいでしょう。

1型糖尿病、2型糖尿病を問わず、混合型(2相型)インスリンを使っている人もたくさんいるでしょうが、混合型は定時に食事が取れる、生活パターンが一定している人に向いているので、訪れる国によって食事のパターンががらりと変わる海外旅行の場合は、基礎インスリンと食事のボーラスインスリンを分けて注射するマルチショットに切り換えておくよう強くお勧めいたします。

食事パターンで考えるインスリン投与の方法

極端な例かもしれませんが、かなり風変わりな食事パターンのスペインを紹介しましょう。「頭の体操」として、自分ならどんなインスリンショットをしたらいいか考えてみてください。

まず朝食はサラリーマンの場合は7:00~7:30amとかなり早いのですが、家で朝食を取る人は少なく、通勤途中あるいは勤務中(!)に正午前までダラダラと人それぞれの朝食(主にコーヒーとパン)を取っています。銀行やオフィスで客が並んでいるのに、悠悠と席を離れてコーヒーブレイクに行く後姿を見ると「あぁ、スペインだ!」と実感します。昼食が一日のメインの食事で、2:00pm頃からワインを楽しみながらゆっくりと召し上がります。(午後の仕事開始は5:00pmです。日本では終業時間ですね!?)

6:00pm頃にメリエンダ(おやつ)が始まり、家事が終った婦人たちが着替えて街ににぎやかに繰り出してきます。仕事が終る7~8pm頃になるとタパスをつまみながら軽く一杯を飲(や)っている男たちでバール(Bar)が混んできます。夕食は小さな子供のいる家庭では9pm頃、一般には10pm位です。夜食のようなものですから、軽い食事になります。就寝は真夜中の0時が相場ですが、実際はかなり遅いでしょう。なにしろシエスタ(昼食後の昼寝)で休養十分ですからね。

わが家の隣人はおん年80歳のご婦人ですが、パティオを通しての明かりを見るかぎり、私より早く寝たためしがありません。この国で糖尿病の優等生をやるのは大変でしょう。仲間はずれになってしまいます。

スペインでも糖尿病の食事療法は定時定量の教科書どおりの指導ですから「ウ・フフ」ですよ。指導している医師や栄養士がこんな生活をしているのですから。

日本でもスペインでもどんな国でも、糖尿病は患者自身が治療するものなんです。
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