胸の痛みや、左肩から左腕に痛みが下りてくるのは心臓発作の可能性があります。 |
しかし、糖尿病になると脳梗塞や心筋梗塞、足の動脈硬化による間欠性跛行などのリスクが健常者に比べて2~4倍も高くなります。これらの前兆として頭痛や吐き気、胸の痛みなどが現われますから油断してはいけません。
糖尿病の合併症:脳卒中・心筋梗塞
糖尿病は動脈硬化をより早期に、進行をより速く、心臓から手足の動脈までより広範囲に症状を進めてしまいます。これらの大血管症も合併症なのです。糖尿病の三大合併症と言われる腎症、網膜症、神経障害は患者を長期にわたって苦しめる病気ですが、脳卒中や心筋梗塞のような大血管症は直接命にかかわるものです。特に脳梗塞は小さな梗塞を多発しながら徐々に脳血管性認知症に至る恐ろしい合併症で、糖尿病患者に多く見られます。
高齢糖尿病患者の認知症のリスクは、アルツハイマー型および脳血管性を問わず、非糖尿病者の2~4倍も高くなります。
心・脳血管系の病気にはいろいろ種類がありますが、それらはいずれも心臓のポンプ作用のトラブルと、全身の血流の不足や停止に関係しています。血液が届かなければ酸素やブドウ糖、その他の栄養素や免疫細胞など全ての物質がストップして細胞や組織が死んでしまいます。
糖尿病は血管の壁を厚くしたり、タンパク質を糖化したり、LDLコレステロールをくっつきやすくします。やかて粥状動脈硬化が進行して血管内が狭くなったり、血栓が詰まったりするようになります。血糖コントロールが予防の第一ですが、血圧の正常化、脂質異常にも同等の注意が必要です。正しいヘルシーな食事、規則的な運動に加え、禁煙を厳守しましょう。アルコールの飲み過ぎや、注意が必要な薬物もあります。
それでも合併症になってしまったら……
自分が出来るだけのことをしても、合併症の診断が下りてしまうことがあります。糖尿病であることが最大のリスクですが、他にも年齢や性別、民族や家族歴のように自分ではどうにも変えられない因子があるのです。もし合併症に直面してもギブアップしてはいけません。従来通りに糖尿病ケアに全力を注ぎましょう。前向き思考で「十分に発症を遅らせられた」とか「そんなに重くならなかったのは努力のせいだ」と思いましょうよ。ホントなんだから。
悲観的な見方は合併症のある生活を難しいものにしますし、家族や友人を悲しませることになります。
合併症になっても自分で出来ることがたくさんあります。まずは脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの予兆を家族と一緒に勉強しておきましょう。そして、いつでも電話で指示をもらえる医療チームを確保しておくことです。この信頼関係は自分で築くものです。