糖尿病/糖尿病の合併症(尿の異常・腎不全・透析)

尿の異常・腎不全・透析

世界中で糖尿病腎症が腎不全の最大の原因になっています。日本でも1999年に透析のトップ原因が慢性系球体炎症から糖尿病腎症に入れ替わりました。透析になると半分の人が5年以内に亡くなります。

執筆者:河合 勝幸

腎臓はメイクイーン(じゃがいも)ぐらいの大きさです
A.D.A.M.
世界中で糖尿病腎症が腎不全の最大の原因になっています。日本でも1999年に透析のトップ原因が慢性系球体炎症から糖尿病腎症に入れ替わりました。透析になると半分の人が5年以内に亡くなります。

医療の進歩で糖尿病コントロールが容易になり、寿命も大きく延びました。その分、遅く発症する合併症も増えています。糖尿病腎症もその一つです。自覚も診断もないままに糖尿病を発症してから15年位は無症状で、やがてタンパク尿が持続するようになり、25年位で透析という推移が考えられています。

1型糖尿病者は糖尿病腎症になりやすく、病歴40年で30~50%の人が発症するとされていますが、なぜかそれ以上は増えないのです。そのため、遺伝性も強いと考えられています。糖尿病の有無にかかわらず、近親者に腎症の人がいればリスクが高くなります。

2型糖尿病者も腎症の最後には透析になりますが、そのかなり前の微量アルブミン尿が見られる早期でも死亡率が高くなるというミステリアスな現象があります。アメリカのデータですが、2型糖尿病は微量アルブミン尿が出てから10年以内に80%の人が動脈硬化による脳・心血管疾患で死亡しています。

微量アルブミン尿は肥満の人に多いインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームにかかわりが深いのです。腎症前期でも油断してはいけません。一般に、微量アルブミン尿のある人の50%が次の尿タンパクが持続的に認められる段階に進行します。

糖尿病腎症の症状

残念ながら腎症の前期は無症状なのです。そこで尿や血液の検査で腎臓の機能を調べるのです。よく耳にする尿中微量アルブミン(マイクロアルブミン)があるとは、血液中のタンパク質の一つであるアルブミンが腎系球体の細小血管の血圧が高いために老廃物と共にフィルターから少し漏れ出してしまう状態を指します。まだフィルターの網の目は広がっていないので、この時点で血糖・血圧を正常に近づけて、食事の塩分、タンパク質を取り過ぎないように努めれば微量アルブミンが出ないようになることがあります。

いつもタンパク尿が出るようになりますと糖尿病腎症もかなり進んだ状態で、足の下部に浮腫み(むくみ)が出るようになります。なぜ顔や足がむくむかと言いますと、腎臓の水分調節の機能がうまく働かなくなって尿量が少なくなってからだに水分がたまってしまうからです。

むくみは朝よりも夜の方が強くなります。さらにひどくなると心臓に負担がかかり、肺に水がたまって呼吸が苦しくなる肺水腫になることもあります。

糖尿病腎症になりやすいタイプは?

まず、糖尿病になってからの期間が長い程リスクが高くなります。そして腎症には遺伝性もあるようです。なりやすい家族があります。そして高血圧。高血圧は腎臓を悪くし、腎臓が悪くなるとさらに高血圧になります。もちろん、糖尿病腎症の予防や治療の基本は血糖値をなるべく正常値に近づけることですが。

その他のリスクとしては高コレステロール血症、腎臓の圧力を高めてしまう尿路感染や前立腺肥大、そして喫煙などがあります。
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